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「人生・生き方」「教育・子育て」「健康・スポーツ」などについて考え、雑学的な知識を参考にしながらエッセイ風に綴るblogです。

2021-01-01から1年間の記事一覧

教育相談における「エビデンス」の問題について考える~國分功一郎・千葉雅也著『言語が消滅する前に』から学ぶ~

12月中旬に、昼休みの時間を利用して散歩がてら職場近くの大型書店へ出掛けた際に、興味深い本を見つけた。それは『言語が消滅する前に』(國分功一郎・千葉雅也著)というちょっとショッキングな書名の新書版だった。私の手は自然と伸びて、本書の目次ペ…

どんな時に「吃音」が出るのか?…~重松清著『きよしこ』と重松清・茂木健一郎の対談『涙の理由―人はなぜ涙を流すのか―』を再読して疑問に思ったこと~

今月18日(土)の夕方、NHK総合1で「吃音」のある少年が様々な経験をしながら成長していく姿を描いた小説を映像化した、土曜ドラマ『きよしこ』の再放送があった。最近、「吃音」のある年長の男児の保護者から適切な学びの場について教育相談を受けた…

保護者との教育相談で心掛けていること~宮口幸治著『どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―』から学ぶ~

10月になって学級担任が変わったことがきっかけになり、授業中に多動性や衝動性が強く現れるようになり、自学級では対応できない状況になったので、一時的に隣のクラスに入って学校生活を送っているという児童に関する教育相談を、私が主になって担当する…

「境界知能」の範囲にいる子どもたちに特別な支援の手立てを!~宮口幸治著『ケーキの切れない非行少年たち』から学ぶ~

特別支援教育・指導員の仕事を始めて、もう半年ほどが経つ。主たる仕事は、幼稚園や保育園、小・中学校等から市の教育委員会へ申請された、何らかの「困り感」をもつ子どもに対する効果的な支援内容及び方法、また適切な学びの場についての教育相談を行うこ…

紅葉の美しさで有名なお寺で再開した二人の孫たち~久し振りに家族が揃った日の充実感~

12月最初の土曜日、私たち夫婦と長女、その長男(私たちにとっての初孫H)の4人、そして義母と義姉夫婦の3人は、二女夫婦とその長男(私たちにとっての二人目の孫M)の住む市をそれぞれの自家用車で訪れ、リーガロイヤルホテルの中の食事処で昼食を取…

<身分け構造>と<言分け構造>をもつ人間の在り方について考える~丸山圭三郎著『フェティシズムと快楽』を再読して~

当ブログの前々回の記事において、『ポストコロナの生命哲学―「いのち」が発する自然(ピュシス)の歌を聴け―』(福岡伸一・伊藤亜紗・藤原辰史著)を取り上げ、<第2部 鼎談・ポストコロナの生命哲学 第6章 身体観を捉えなおす>における鼎談内容の概要と主…

「吃音」って、どのように克服するのだろうか?~伊藤亜紗著『記憶する体』(エピソード10「吃音のフラッシュバック」)を読んで~

学校で様々な「困り感」をもつ子どもの適切な学びの場や、その子の特性に応じた学校や家庭での支援の工夫等に関する教育相談を行う仕事をするようになって、約4か月半。改めて、様々な「困り感」をもつ子どもたちは、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠…

新型コロナの“第5波”が収束している束の間に考えたこと~福岡伸一・伊藤亜紗・藤原辰史著『ポストコロナの生命哲学―「いのち」が発する自然(ピュシス)の歌を聴け―』を読んで~

11月に入ってから、急速に新型コロナウイルスの感染者数が減ってきた。本県でもここ数日、感染者0名が続いていて、知事も恒例の記者会見で「“第5波”は収束した。」という主旨の発言をしていた。それに伴って、社会経済活動もコロナ前の日常性を取り戻そ…

教育における“利他”をどうとらえるか?~伊藤亜紗編・中島岳志・若松英輔・國分功一郎・磯崎憲一郎著『「利他」とは何か』から学ぶ~

美学者の伊藤亜紗氏が著した『目の見えない人は世界をどう見ているのか』を読んで以来、彼女の発言内容に関心を持つようになった私は、最近『「利他」とは何か』(伊藤亜紗編・中島岳志・若松英輔・國分功一郎・磯崎憲一郎著)を読んだ。その中で彼女が執筆…

1年振りに孫Hを「こどもの城」に連れて行った日を振り返って~孫Hの近況報告も兼ねて~

先週の土曜日に1年振りに、孫Hを連れて当市の郊外にある「こどもの城」という施設を訪れた。前回、乗ることができなかった園内の池を利用したボート乗り場に行って、あひるのボートに乗せてやりたいと思ったのが、その目的の一つであった。だから、私たち…

小説家で戯曲家でもある「柳美里」という人間について~柳美里著『南相馬メドレー』を読んで~

今の勤務場所に近い市立中央図書館が数か月ぶりに再開したので、私は昼休みの時間を利用して自転車を走らせた。そして、仕事に関連した『イラストでわかる特別支援教育サポート辞典―「子どもの困った」に対応する99の事例―』(笹森洋樹編著)と、趣味に関…

時代小説の新たな地平を拓く青山作品の魅力について…~青山文平著『遠縁の女』を読んで~

私の睡眠時間は、平均すると約5時間である。日によって多少時間のずれはあるが、午後11時頃に入眠して午前4時頃には目が覚める。目が覚めた後は何をしているかというと、枕元に置いている電気スタンドのスイッチを押して点灯し、寝る前に読んでいた本の…

障害者に対する差別や偏見を助長する「世間」の変化とは…~佐藤直樹著『目くじら社会の人間関係』から学ぶ~

先月22日(水)の地元の新聞紙に<児童に「生きる価値なし」 特別支援学級教諭を免職>という見出しの記事が掲載された。その記事によると、兵庫県姫原市立のある小学校教諭(39歳の男性)が、2018年~2021年6月の間に、かばんをしまわないなど…

約3か月振りに馴染みの喫茶店へ出掛けました!~「まん延防止等重点措置」の解除を受けて~

10月になり、全国的に「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」が全面解除になった。本県もしばらく継続されていた「まん延防止等重点措置」が解除になり、我が家でも今まで継続していた外食自粛を解禁することにした。まずは、2日(土)の午前中、約…

「障害」を媒介にして人々の関係を変えよう!~伊藤亜紗著『目の見えない人は世界をどう見ているか』から学ぶ~

前回の記事をアップした後、私は当ブログで以前に「伊藤亜紗」という美学者に関わる内容の記事を綴ったことがあったことを思い出した。それは、「スポーツは見えない?」(2019年3月20日付け)というタイトルで、彼女がNTTと共同して「目の見えな…

「道徳」ではなく「倫理」を中核にした道徳授業について~山口尚著『日本哲学の最前線』から学ぶ~

職場で新型コロナウイルスの感染拡大防止のために時差出勤が実施されていた時期に、定時より1時間早く出勤する日があった。当然、その日は退庁時刻も早くなるので、私は久し振りに帰宅途中にある大型書店に立ち寄ることにした。2階の文庫や新書等を揃えて…

改めて「ボッチャ」の魅力について語る!~東京パラリンピック2020「ボッチャ」個人の脳性麻痺BC2の決勝戦を振り返りながら~

先週末、教育相談業務として市内の小規模校を訪問した際に、小学3・4年生の合同体育でパラスポーツの「ボッチャ」に似たゲーム大会をしていた。ジャックボール(目標にする球)や個々のマイボール(投げる球)は、新聞紙を丸めてプラスチックの買い物袋に…

「居る」を支えるケアラーとしての教師の在り方について考える~村上靖彦著『ケアとは何か―看護・福祉で大事なこと―』から学ぶ~

9月に入り学校は2学期を迎えたが、本県はまだ「まん延防止等重点措置」の実施が継続している。当面、学校は午前中だけ授業を実施し、給食を食べてから下校という緊急的な対応策を講じている。全国的に従来株より感染力が強力なデルタ株が市中で蔓延し、子…

じいじが0番目に好き!~孫Hの近況報告を兼ねて~

毎週土曜日の半日、孫のHは我が家に遊びに来るのが習慣のようになっている。11時前に訪れた先週の土曜日は、日中の温度が35℃近くに上がったので、駐車場の空きスペースを利用してこの夏最後のプール遊びをした。カーポートの上に日差し除け用のシートを…

「読む」ことと「書く」ことについて考える~若松英輔著『生きていくうえで、かけがえのないこと』から学ぶ~

7月に再就職して以来、なかなか集中して読書をしたりブログを書いたりすることがままならなかったが、日々の生活リズムに慣れてきた上にお盆休みで一息ついたので、少し心身共にゆとりができてきた。私は、久し振りに市立中央図書館へ足を運び、3冊の本を…

お盆休みに堪能した「浅見光彦シリーズ最後の謎」~内田康夫著『孤道』、和久井清水著『弧道―金色の眠り―』を読んで~

今年のお盆は、日本各地が自然災害に見舞われて、大変な事態に陥ってしまった。その一つが、新型コロナウイルスの変異株(インド型)が全国的に猛威を振るい、第5波の感染拡大が止まらない自然災害級の事態になっていること。二つ目が、本州付近に停滞して…

特別支援教育の視点から学級づくりを考える~松久眞実氏の講演を視聴して~

先日、特別支援教育指導員の研修の一環として、全日本特別支援教育研究連盟・第26回中国・四国地区研究大会におけるオンラインセミナーの次のような講演を視聴した。 講師の松久氏は、現在、桃山学院教育大学の教育学部教育学科教授で、特別支援教育・学級…

コロナ禍で開催されていた東京オリンピック2020を振り返って…

「ゴォーッ、ゴォーッ」という強風の音で目覚めた私は、すぐに階下に降りてテレビのリモコン・スイッチを入れ、NHKの台風情報を見た。8月8日の夜間、九州に上陸した台風9号は、今朝には広島県へ再上陸して北上しているところだった。県下には、まだ土…

「自閉症」のこころの世界はどうなっているのだろう?~特に村瀬学著『自閉症―これまでの見解に異議あり!―』を再読して

前回の記事は、『「こころ」の本質とは何か―統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ―』(滝川一廣著)を再読して、「自閉症」の本質について私なりに理解したことをまとめてみたが、その際に「自閉症」のこころの世界について十分に触れることができなかった。…

「自閉症」の本質をどのようにとらえたらいいのか?~滝川一廣著『「こころ」の本質とは何か―統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ―』を再読して~

学校生活において困り感を抱いている子どもに関わっている先生方やその子の保護者に対する「教育相談」を行うことが、今の私の主な職務内容である。したがって、まず対象児が抱いている困り感の実態を知るために、在籍している保育所や幼稚園・小学校・中学…

コロナ禍でも、生後5か月を経た孫Mもすくすく育っています!

先週の日曜日に2回目のコロナ・ワンチンの接種を無事終え、私自身は少し安心した気持ちになっているが、東京オリンピック・パラリンピック大会の開幕が間近に迫った東京都では新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大している。感染力が強まったインド型の…

「障害」という概念について考える~佐藤幹夫著『ハンディキャップ論』を再読して~

前期高齢者の私としてはフルタイムで働き始めるとやはり体力的にきつい面があり、帰宅してから読書をしたりブログの記事を書いたりする余裕があまりない。特にこの一週間はまず職場の雰囲気や業務内容に慣れることに専念していたので、自分では意識していな…

「教育」に関わる公共性の高い仕事に再挑戦することになりました!

今年1月末をもって前職を辞してから5か月の月日が過ぎた。しばらく心身の疲労を解消することに専念していたが、2月下旬からの約2か月間は、私にとって二人目の孫になるMの「孫育て」とも言える、二女の子育てサポートに全力で取り組んだ。その間に、新…

主人公が未だに偏見や差別が残る「屠殺(とさつ)」という仕事を選んだ理由は?~佐川光晴著『生活の設計』を再読して~

前回の記事で、「神道」における「穢れ」という概念とそれを「祓う」という意味について綴った際に、中世社会になり仏教思想や陰陽道が浸透することによって、特定の人々を「穢れを有する人々」として扱うようになり、それらの人々を排除・差別しようとする…

「穢れ」という概念とそれを「祓う」ことの意味について考える~イースト・プレス発刊『あらすじとイラストでわかる 神道』を参考にして~

「神道」の基本的な事項についてもう少し学んでみたいと思い、馴染みの古書店で初心者向きの本を探していて見つけたのが、次のような章立てで構成されている『あらすじとイラストでわかる 神道』(イースト・プレス発刊)であった。 ○ 第一章「神道の歴史と…