私は「まだまだ若い!」と自分では思っているが、最近は身体の節々が痛くなったり、運動時すぐ疲れるようになったりしてきて、「老い」を否応なく実感することが多くなった。ただし、脳は未だに覚醒状態のままで、特に社会的・人文的な事象に対する興味・関心が高く、次々と醸成してくる課題意識に即した追究活動は尽きない。この点では常に「若さ」を保持していると多少自慢したい気分である。でも、これからの人生の後半を楽しむためには脳の「老い」だけではなく、身体の「老い」も少しでも遅らせたいものである。
そんな時に古本屋で見つけたのが、『老いない体をつくる~人生の後半を楽しむための簡単エクササイズ~』という本である。私は一気に読破し、「これなら、続けられる !」と声を上げた。そこで、ここではその中で私の印象に残った内容とその所感をまとめてみたい。
著者の湯浅氏は本書を上梓した2005年の時点で、還暦前の58歳であった。その頃、「老いないための心がけ」として① 寝つきの3時間を大切にする。② ご飯は毎食ごとに一口分減らす。③ とにかく体を動かす。④ 精神的ストレスを増やさない。を実行していたそうである。
①の理由は、寝つきの3時間で起きるノンレム睡眠を確保して熟睡し脳も身体も眠らせ、老化を早める「新陳代謝の低下」を予防するため。②の理由は、老化を早める「肥満」を予防するため。③の理由は、老化を早める「運動不足」を解消するため。④の理由は、老化を早める「精神的ストレスによる身体の働きの悪化」を予防するため。これらの心がけで、著者は実年齢よりも10歳ほど若く見られていたそうである。私は著者のように若くは見られないが、これらの心がけに相当する日常生活を送るようにしており、意を強くすることができた。
次に、私が最近気になっている「関節の痛み」を防ぐためのエクササイズについて。関節痛の原因は、ケガ・感染症・リュウマチなどがあるが、加齢に伴って関節にある軟骨がすり減って起きる「変形性関節炎」が多いそうである。その予防法の一つが、関節を取り巻いている筋肉を強化して、関節を安定することである。そして、そのための運動として勧めているのが「アイソメトリックス」と呼ばれる筋肉トレーニングである。このトレーニングは、ドイツの運動生理学者ヘッティンガー博士が提唱した方法で、関節を固定したまま筋肉を収縮させ続ける運動のことである。
本書では、関節ごとに「アイソメトリックス」の方法を紹介している。例えば、膝痛を予防するために膝を取り巻いている大腿四頭筋や大腿二頭筋を強化する「アイソメトリックス」として、次のような簡単なエクササイズを紹介している。① 壁に背を付けて立つ。② 壁に背を付けたまま、両膝を直角に曲げる。③ その姿勢を7秒間保持する。④ 5~10秒間の休みを取りながら、3回繰り返す。というものである。
この運動がつらいと感じる人は、① 椅子に浅めに座る。② 一方の脚を床から話して、膝を伸ばす。③ 上げている足先を真上に向け、脚全体に力を入れる。④ その姿勢を7秒間保持する。⑤ 5~10秒間の休みを取りながら、3回繰り返すという運動がお勧め。
本書には、このように日常生活の中で誰もが簡単に実践できるエクササイズの数々が紹介されている。人生の後半を楽しむために、「老いない体」づくりと首・肘・手首・腰・膝・足首等の身体全体にわたる関節痛の防止を目指して、私も簡単エクササイズを実践していこうと思う。特に身体の「老い」を早めてしまう「脚の衰え」を防いでいきたいものである。