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より活動的になった孫を見守る「じじバカ」丸出し物語!

 作家、エッセイスト、写真家、映画監督という様々な顔をもつ椎名誠氏の私小説のような、エッセイのような本、『三匹のかいじゅう』と『孫物語』を土日にかけて読んだ。二冊とも祖父である著者と三人の孫たちとのつきあいが話の中心になっていて、「じじバカ小説」のような読み物である。面白さ満載のエピソードが綴られている文章からは、著者の孫たちへの愛情溢れる眼差しを感じ取ることができ、私は自分の気持ちを代弁してくれているような親近感をもった。あの椎名誠も私と同じように「じじバカ」になっているなあと、何だか感慨深い気分になったのである。

 

 20代の頃、当時「おもしろカナシズム」(面白いのだけれど、ちょっと切なくて悲しい感じのこと)と命名された独特の文体で綴られたシーナの自伝的小説『哀愁の町に霧が降るのだ』を初めて読み、私はシーナ・ワールドにハマってしまった。デビュー作『さらば国分寺書店のオババ』も抱腹絶倒しながら読み耽ったものである。その後、シーナは自分の息子とのつきあいを題材にした『岳物語』シリーズを出版して、それは現在までの売上累計が300万部以上のロングセラーになっている。本書二冊は、その『岳物語』シリーズの延長線上に位置するファミリーものの読み物である。

 

 そこで今回は、本書二冊に描かれている三人の孫たちの活動的な姿に触発されて、初孫Hの最近の姿を描きたいという衝動の下に、「じじバカ」丸出しの気分で思いのままに綴ってみたい。

 

 2才になったHは、最近ますます活動的になってきた。2足歩行になるのがやや遅かったHだが、今は家の中を小走りで駆け回るようになってきた。また、私がHを抱っこして近所を散歩している際、「僕を下ろして歩かせろ。」というように体を捩じるような動きをする。私は車一台がやっと通るぐらいの幅しかない小道になると、さらに安全を確かめた上でHをそっと下ろす。すると、Hは「ウォーツ!ウォーツ!!」という野獣的な叫び声を上げながら、舗装された小道を走り始めるのである。そのあまりに大きな声に、私は一瞬周りを見回してしまう。他人がその声を聴いたら、何事が起ったのかと訝しるのではないかと想像するからである。しかし、私はHがしたいようにさせている。その訳は、Hの走る姿は体全体で喜びや楽しさを表現しているように感じるからである。確か若い頃に読んだ『「人間らしさ」の構造』(渡部昇一著)という本の中で紹介されていた「機能快」(本来もっている機能を使った時に得ることができる快感)を味わっている姿そのものなのである。走っている時のHの表情は、本当に満面の笑みを湛えているのである。私まで嬉しくなってしまうから、Hが飽きるまで走る姿を見守ってやっている。まさに「じじバカ」丸出しの仕儀なのである。

 

 Hは走るのにやや飽きてきたら、今度はその小道と2階建てのアパートの駐輪場の間にある段差に意識が向く。そして、5~10㎝くらいの段差を上がったり降りたりする動きにチャレンジしようとする。初めてチャレンジする時には、私がHの手を取ってサポートしてやった。しかし、最近は自力で何とかできるようになり何度も何度も慎重に繰り返す。一つ一つの動きをクリアする度に、御満悦の表情になり私の方へ顔を向ける。私は「すごい、すごい。自分でできるようになったね。えらいぞ。」と承認と称賛の言葉掛けを行う。すると、Hは安心したように微笑み返してくれる。この瞬間が、私は好きだ。私の心とHの心が深く繋がったような気分に浸れるからである。また、Hは緩やかな坂になっている路面を走るのも好んでいる。坂を上がったり下ったりする動きを、やはり叫び声を上げながら繰り返す。本当に楽しそうである。その様子をずっと見守っていても私は飽きない。

 

 散歩から帰って夕食を済ませた後、私は2階の和室でHとしばらく遊ぶこともある。和室には、1才の誕生日祝いでプレゼントしたジャングルジムや滑り台、ブランコなどがセットになった室内用の遊戯用具を設置している。つい最近まで滑り台が怖くて滑るのを嫌がっていたHだが、数ヶ月前に通っている保育園で近くのコミュニティセンターに行った時に友達に誘発されてか初めて滑り台を滑った体験をしてから、大人がサポートすれば何とか和室の滑り台も滑ることができるようになった。その後、様々な公共的な施設に出向き、じじばばや私たちの長女である母親がサポートしながらそこに設置している滑り台を滑らせる体験を重ねてきた。すると、最近は自力で和室の滑り台の上に上り、滑ることができるようになった。つい先日も、得意げな表情で気持ちよく滑っていた。その際に、何となく滑り台を越えるような動きをしている時に、何かの拍子にできてしまった。Hにとっては初めてできた動きだったので、その後、何度も確かめるようにその動きを繰り返していた。私は「やったね。初めてできたね。すごい、すごい。」と笑顔で言葉掛けをした。その時のHの自慢げな顔はしばらく私の眼の裏から消えなかった。さらに、昨日は今まで乗るのが怖くて近寄りもしなかったブランコに自分から進んで乗ろうとする意欲を見せた。私はそっと手を添えてゆっくりブランコを揺ってやった。初めての体験で少し怖がっていたが、何とかブランコに乗るという体験をしたという感じだった。Hの頬はちょっと緩んでいたようだった。このように孫の成長する姿や表情を思いのままに綴っていると、つくづくと思う。…ホント、これは「じじバカ」丸出し物語だなあ。