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薬は飲む方がいいの、飲まない方がいいの、どっち?

    今春のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は、私の住んでいる地域では例年並みらしい。しかし、最近になって私は鼻水が流れたり、目がかゆくなったりする症状が少しひどくなってきた。また、それに付け加えて少し微熱があるように感じた。そこで、花粉症の症状が悪化する前に対処しようと、仕事が休みの日に掛かり付けの耳鼻咽喉科を受診した。約1年振りの受診だったが、馴染みの医者は問診の際にやたら微熱の症状にこだわり、結果的に処方してくれた薬は、通常の風邪薬ととん服、花粉症等の薬で5種類にもなった。今は微熱の症状はほとんどないと何回も説明したのに…。「こんなに薬を飲まないといけないのだろうか。」というのが正直な私の疑問であった。

 

 そのようなことがあった日の何日後かに、私は普段からよく立ち寄る古書店で興味を引いた本と出合った。『薬剤師は薬を飲まない~あなたの病気が治らない本当の理由~』(宇多川久美子著)という本である。私は用事が多少あったが、止むに止まれない気持ちで一気に読み通してみた。すると、薬との賢い付き合い方について学ぶことが多かったので、今回はその学びの内容概要と私なりの所感をまとめてみようと思う。

 

 著者は4人兄妹の内、一番目の兄と二番目の姉を早くに亡くし、すぐ上の姉は心臓弁膜症を患うという家庭環境の中で、「一人でも多くの人の健康を守りたい」という思いを抱き、薬剤師になった女性である。その彼女が薬はその人の身体によからぬ作用を及ぼすかも知れないことを知りながら、「一生のおつきあい」=「命がある限り飲み続けてください」と患者さんに笑顔で言う自分が許せずに、ついに白衣を脱ぐ決意をした。そして、今は「薬を使わない薬剤師」として、食やエクササイズを通して、必要以上に薬に頼らずに元気になる方法を広める活動をしていると言う。本書は、そのような経験に基づいて、薬が効くメカニズムを解説した上で、人が生まれながら持っている自然治癒力や自己免疫力の重要性を伝えようとしたものである。

 

 本書の中で私が改めて認識し直したことは、「漢方など天然素材のもの以外、薬の多くは石油から作られた合成品であり、私たちの身体にとって異物であること」。また、「私たちは無意識に薬が病気を治すという錯覚をしているが、薬は病気の症状を抑えるものであり、実際に病気を治すのは私たちの自然治癒力や自己免疫力であること」などである。また、私が初めて認識したことは、「薬はどんなに便利でも、飲み続けてはいけないこと」や「その理由として重要なのは、酵素であること」などである。

 

  そこで、薬を飲み続けてはいけない理由としてなぜ「酵素」が重要なのかを、私なりに理解したことに基づいて少し説明してみたい。

 

 身体の中で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子のことを「酵素」と言い、口から入った食べ物を消化したり、アルコールを分解したり、血液や皮膚を作ったりする際に使っているのが酵素である。つまり、私たちは酵素があるから、生物としての活動を営むことができるのである。また、酵素にはもともと体内にある「体内酵素」と、外部から取り入れる「食物酵素」があり、「体内酵素」は加齢とともに減少していく。その上、体内で無尽蔵に作られるわけではなく、一日に作られる量には上限がある。さらに、「体内酵素」は、食物の消化・吸収に使われる「消化酵素」と、身体を正常に動かすために使われる「代謝酵素」に分かれており、この二つの酵素は互いに影響し合っている。例えば、全体の体内酵素を10とした場合、仮に消化酵素を6使うと代謝酵素は4になり、消化酵素を9使うと代謝酵素は1になる。そして、食べ物と同じく、薬も消化酵素によって体内で消化・吸収される。しかし、薬は私たちにとって異物であり、私たちの身体は異物を消化・吸収する方法を知らないので、試行錯誤のために無駄遣いをしたり、解毒のために大量消費したりすることになる。そうなれば、使える代謝酵素が減ってしまい、結果的に代謝が悪くなって体温が下がることになる。そして、体温が下がれば免疫力も低下してしまうのである。因みに、体温が1度下がると免疫力は30%低くなるそうである。病気になった時にこそ免疫力を発揮してほしいところだが、病気を治すために薬を飲むと結果的に免疫力を低下させてしまうのだから、皮肉な話である。とはいえ、急性の症状に対して、薬の主作用が副作用を上回る場合は、むしろ積極的に薬を使うべきである。ただし、生活習慣病に対しては、薬を長期にわたって使用すれば、上述したように薬としてのよい一面が薄れ、毒としての一面が濃くなってしまうのである。

 

 薬を常用することのデメリットは他にもある。その一つは、薬に対する「耐性」ができてしまうために、薬が効かなくなってしまうことである。そうなると、薬の量を増やすようになり、その結果今まで出なかった副作用が出るようになったり、使用する酵素の量も増えてしまったりする。したがって、身体になるべく負担をかけずに薬を効果的に使うためには、薬に対する耐性を持たせないようにすることが重要である。生活習慣病なら薬に頼らずに、生活を改善することが大切になる。また、薬を常用することは、心理的にストレスを与えることになる。現代人の病気の70%は、ストレスによる交感神経の過緊張によって起こると言われており、この点もデメリットと考えられる。

 

 以上の内容以外にも学ぶことが多かった。私は本書を読んで学んだことに基づいて、耳鼻咽頭科から処方してもらった薬を飲むかどうかについて、次のように判断した。まず、風邪薬は飲まない。また、花粉症の薬は、花粉飛散量が多いと予報される日には決められた服用量を飲む。その結果、今のところ体調はまずまずよいのである。…「急性の症状以外は、原則的に薬は飲まず、栄養のあるものを食べ睡眠をよく取るようにして、自分が持っている自然治癒力や自己免疫力によって病気を治す。また、普段から病気にならないように体温を上げる運動やエクササイズを定期的に行う。」…これを私の養生法にしようと思う。皆さんは薬との付き合い方や養生法について、どのように考えますか?