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総合型地域スポーツクラブの「登録・認証制度」導入に伴う負の側面を危惧する!~本県総合型地域スポーツクラブ連絡協議会・評議員会での議論内容から~

    今月2日(日)の午後、県生涯学習センター・第4・5研修室を会場にして、本県の「総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型クラブ)連絡協議会・評議員会」を開催した。議事の第1号議案から第5号議案までは概ねスムーズに進行したが、その他の中の「連絡協議会の入退会に関する規約の変更」と「総合型クラブの登録・認証制度」の審議には多くの時間が割かれた。

 

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   「規約の変更」については、規約条文の表記の仕方について慎重に審議され、会長と事務局に一任ということで了承された。ただ、「登録・認証制度」については、今月28日(金)にスポーツ庁から各都道府県の行政担当者や連絡協議会長、体育・スポーツ協会関係者への説明会が大阪で開催される予定なので、現在までに事務局が情報収集した範囲での説明に基づいた審議になった。したがって、まだ不確実な情報を基に各自が推量したり憶測したりした意見が飛び交う議論になった。

 

 そこで、今回の記事ではこの評議員会で出された議論を整理するとともに、私なりの簡単な所感をまとめてみたい。

 

 まず、「登録・認証制度」の導入目的やメリットについて。基本的には、目的は「総合型クラブの質の充実を図ること」であり、メリットは「総合型クラブの社会的認知度と信頼度を高めること」である。そのために、「登録基準」は総合型クラブの理念である「多種目」「多世代」「多志向」を満たす内容になり、「認証基準」もタイプ別(例えば、介護予防タイプ、学校運動部活動連携タイプなど)による内容になる。しかし、県内39の総合型クラブの内で「登録基準」を満たすのは、1~2割程度になるのではないか。そして、登録済みの中でその特性が明確な総合型クラブがタイプ別の認証を申請することが予想される。とすれば、そのメリットを生かせるのはほんのわずかの総合型クラブになる。確かに、登録・認証された総合型クラブには、県内市町の行政機関からそのタイプに応じた委託事業を受ける可能性があり、それは当該総合型クラブにとって事業的にも財政的にもプラスになると思われる。ただし、その恩恵を受けるのは、本当に少数なのである。それでいいのだろうか!?

 

 次に、中間支援組織について。日本スポーツ協会の原案によると、「登録・認証制度」の運用主体となる中間支援組織は、各都道府県体育・スポーツ協会になるとのこと。(現時点ではまだ確定してはいないが…)そして、育成支援する対象は登録・認証された総合型クラブになるらしい。また、一部の情報によると各都道府県総合型クラブ連絡協議会に加入できるのは、それらの総合型クラブだけになるという。とすれば、登録・認証しない、或いはできない総合型クラブは支援を受けたり連携を図ったりすることができない情況になるかもしれない。これは、事業実績の少ない経営基盤の弱い総合型クラブ、しかし細々とではあれ地域住民の生涯スポーツの機会を提供して地域活性化に何らかの貢献をしている総合型クラブが明らかに排除されることにつながる。本当にそれでいいのだろうか!?

 

 最後に、私共の広域スポーツセンターの在り方について。中間支援組織が本県スポーツ協会になった場合、私共の広域スポーツセンターの役割は今後どうなるのであろうか。県内の登録・認証しない、或いはできない総合型クラブは今まで通り、広域スポーツセンターからの育成支援を期待されると思う。しかし、もし地域スポーツの振興を図る県の担当課からの委託事業を受けることができなくなれば、今まで通りの支援を行うことは不可能である。当事業団の自主財源で総合型クラブを支援する事業は財政的に制限されている現状を鑑みれば、私共の広域スポーツセンターの機能は低下していく。とすれば、県内の8~9割の総合型クラブは育成支援を受けられなくなり、今後ますます経営が困難な情況に陥り、いずれ衰退の一途を辿ることになりかねない。本当に、本当にそれでいいのだろうか!?

 

 以上のように、今回の「登録・認証制度」導入に伴う負の側面は大きい。私はこのことを大変危惧するのである。今後スポーツ庁から示される制度設計の詳細についてしっかりと把握した上で、負の側面が拡大しないような具体的な方策を講じていきたいと考えている。