ようこそ!「もしもし雑学通信社」へ

「人生・生き方」「教育・子育て」「健康・スポーツ」などについて考え、雑学的な知識を参考にしながらエッセイ風に綴るblogです。

孫Hの「非認知能力」を育むために…~ボーク重子著『「非認知能力」の育て方』から学ぶ~

   先日の「父の日」に、私が自宅近くの書店で新刊書にざっと目を通していたら、長女からLINEで近くの公園で孫Hと遊んでいると知らせてきた。「Hと一緒に遊んでやりたい。」という思いが私の心に溢れてきて、気が付くと自転車に飛び乗っていた。5~6分というわずかの時間だったと思うが、自転車を漕ぐ足の回転がスローモーションのように感じられた。

 

 公園に着き、ベンチに腰掛けているHと長女を見つけた私は、すぐ二人に近づいた。すると、おやつのジュースを飲み干し、顔を上げたHの目に私の姿が映った。嬉しそうに輝くHのまなざしと私のまなざしが交わった時、何とも言えぬ高揚感が私を包んだ。私は午前中の短い時間だったが、自宅近くの公園でHと遊ぶことができたのである。

 

 2歳4か月になるHは、身長約90㎝、体重約15㎏。まだまだ覚束ない足取りだが、坂道を駈け上がったり、駆け下りたりする動きに「機能快」を味わっているようだ。また、多少怖がり屋のところがあり、公園の少し大きな滑り台を滑り降りるのがつい最近まで苦手だったが、その日は果敢にチャレンジした。私と共に階段を上り、急な傾斜の滑り台からも一緒に滑り降りた。その時のHの得意満面の顔が、可愛くて仕方なかった。さらに、シロツメグサが敷き詰めたように咲いている草地では、飛び交うモンシロチョウを追いかけたり、私と追いかけっこをしたりする遊びに夢中になっていた。前日の雷雨が嘘のように晴れ渡った日曜日の公園。帽子の縁の内側に汗が滲んでくるような暑さであったが、私はHと戯れる一時を過ごすことができた充足感の方が大きく、あまり暑さは気にならなかった。

 

 今、私たちじじばばはHが将来、豊かな人間性を備えた大人に成長してほしいという願いの下、Hに対して「人に対する基本的信頼感」が培われるような接し方を常に心掛けている。具体的には、Hを一個の人間として全面的に受容しつつ、Hが好きなことを見つけて遊ぼうとする姿を見守り、励まし、褒めるような接し方をしている。その甲斐もあってか、今のところHは私たちじじばばに対して、心から気を許し、甘えるような態度を示している。また、時には私たちの身体の至る所を噛んだりつねったりする行為をするようになっている。私たちは「痛っ。痛いよ、Hくん。」と言いながらも、その甘えを反転させたような行為も許容しつつ一緒に楽しく遊んでいる。

 

 そんな私たちにとって「我が意を得たり」という本を見つけた。『「非認知能力」の育て方~心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育~』(ボーク重子著)である。そこで、今回は本書から学んだ「非認知能力」を育むコツについて綴ってみようと思う。

 

 本書は、母親であるボーク重子が娘スカイを育てる上で、「非認知能力」を育む教育こそが、自分の求める“世界最高の子育て”だと確信し、具体的に様々な手立てを講じた実践内容を基にして執筆した書である。「非認知能力」とは、IQやテスト結果のような数値化できる能力ではなく、問題解決力、柔軟性、心の回復力、自制心、やり抜く力、社会性、共感力など、従来の学力とは異なる「数値化できない人間力」のことである。そして、この「非認知能力」がもっとも伸びるのは0~10歳頃の乳幼児期なのである。

 

 「非認知能力」を育む教育の価値に気付いた重子が、まず家庭でできることとして取り組んだのが、①家庭のルールづくり(世の中にはルールがあることを教え、守らせる) ②豊かな対話とコミュニケーション(表現する力と自信を養う) ③思う存分、遊ばせる(遊びの中から問題解決力を伸ばす)の3つのこと。また、子育ての過程で常に意識したのは、①子育ての目的を明確にする ②子どもが安心してチャレンジできる「安心な環境」をつくる(そのための柱は、「子どもの存在を認めること」「個性を認めること=子どもを自分とは違う一人の個人として尊重すること」「子どもが楽しむことを重視した環境」) ③子どもの持つ力を最大限に引き出すための努力は惜しまない ④自分も子どもも、ありのままの姿を受け入れ、認める という4つのこと。どれも今では当たり前のような子育て法なのだが、各家庭で本当にできているかと問われれば、なかなか実践は難しい内容なのではないか。

 

 以上のような実践内容を具体的に論じたのが第2章以下の章であるが、ここではそれらの章題を列挙することに留める。【第2章 ルールをつくる/第3章 対話する/第4章 遊ぶ/第5章 子どもを受け入れる/第6章 「好き」を見つける】詳しく知りたい方は本書を手に取ってもらいたい。ただし、第6章に関しては、私が特に共感した箇所があるので、最後に簡単にそれに触れて筆を擱きたいと思う。

 

 それは、基本的に子ども一人一人の「好き」や「楽しい」という感情を最優先するということ。なぜなら、そのことが人生を幸せと成功に導く「非認知能力」を育む入口だからである。子どもは好きだから、楽しいから自分からやろうとするものであり、それは自己肯定感を高める。さらに、そこに「何のためにやるのか」という大きなビジョン(目的意識)が加わったとき、最後までやり抜く力や共感力が発揮される。自分が情熱をかけられるもの。何よりも大好きで、夢中になれるもの、そしてそれは自分以外の誰かのためにもなる-それが「パッション」だと重子は述べている。私はこの子どもの「パッション」を見つけることが、子育てにおいて最も大切なことではないかと思う。重子は、「子どものパッションを探し支える方法」として、次の6つのことを紹介している。① さまざまなことに挑戦させる ②いろいろな人に会う機会をつくる ③子どもの「フロー状態」を見逃さない ④見つかるまで探し続ける ⑤はじめ方、やめ方のルールを決めておく ⑥「何のために」という質問を習慣にする

 

 大きなビジョンが見え、自分なりのパッションを見つけることができたとき、人は初めて「やりがい」や「生きがい」を持つことができる。私たちじじばばは、本書から学んだことを長女にも話してやり、これからも長女夫婦と共にHの「非認知能力」を育むための子育て・孫育てをしていこうと二人で確認した次第である。