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感染症対策のイロハについて~岩田健太郎著『新型コロナウイルスの真実』から学ぶ②~

 先週の18日(土)の夕方から19日(日)にかけて、私は鼻詰まりや喉の痛みを伴う微熱(37℃前後)が続いていた。特に18日の夜中には、一時は体温が37.5℃になるなど症状が悪化してきて一睡もできない情況だった。「えっ、これって新型コロナウイルスに感染してしまったのか!?今まで感染予防のために不要不急の外出は自粛していたし、手洗いやうがいも頻繁にしていたのに…。」と、私の心の中は大きな不安や疑念が渦巻いていた。病院を受診しようにも、土日なので休診している。ただ、私はもともと花粉症という持病をもっているので、今までにもこれらの症状と似た経験を何度かしていた。「もしかしたら、花粉症の症状が酷くなっているだけなのかも…。」という楽観的な考えが頭をよぎった私は、妻が以前に処方してもらって残っていた花粉症の薬を飲んだ。すると、19日の午前中には酷い鼻詰まりや喉の痛みは軽減してきた。しかし、微熱は続いていたので、終日、療養のために布団で寝ていた。そのおかげか、何とか睡眠時間を取り戻すことができた。

 

 20日(月)の午前中、私はかかりつけの耳鼻咽頭科病院へ行き、受診することができた。発症の経緯や症状の様子等を私は医師に説明した。医師はそれを聞きながら喉を診察して、「喉の症状が酷い。でも、咳は出ていないのですね。それなら、おそらくいつもの花粉症の症状でしょう。もしかしたら風邪を引いているかもしれないので、両方の薬を出しておきます。」と言った。私は新型コロナウイルスに取り付かれていた気分が晴れて、ホッとした。それから2日間、処方された薬を律儀に飲みながら症状の改善を図った。すると、21日(火)には平熱に戻り、鼻詰まりや喉の痛みの症状もよくなってきた。「やっぱり花粉症の症状が出たんだなあ。」と私は安心しつつも、「でも、絶対に新型コロナウイルスに感染していないとは言えない。」と自戒した。そして、改めて今までの自分の感染症対策について見直すことにした。

 

 そこで今回は、前回の記事でも取り上げた『新型コロナウイルスの真実』(岩田健太郎著)の中から感染症対策のイロハについて学んだことをまとめ、簡単な所感を付け加えてみたい。

 

 本書の第2章「あなたができる感染症対策のイロハ」の中で、著者はまず「感染経路」をブロックすることの重要性を訴えている。新型コロナウイルスのメインの感染経路は、「飛沫感染」(水しぶきで起こる感染)と「接触感染」(落ちた飛沫に触れることで起こる感染)の2つ。どちらにしろ、感染をブロックする一番簡単な対策は、患者さんを見つけて隔離することと、「手指消毒」をすることである。物に付着しているウイルスを消毒しようとしても、その回数や頻度を増やすには限界がある。だから、「ウイルスがどこにいるのか分からない」のなら、「どこにでもウイルスがいる前提で考える」方に発想を変えることが大切なのである。

 

 次に、「免疫力」について言及している。「免疫力」とは病原体に対抗する力、つまり生体防御反応の強さのこと。これは、強くなれば強くなるほどいいものではなく、むしろ害になるらしい。例えば、私の持病である花粉症の症状は「自己免疫疾患」に分類されるが、これは免疫力が高すぎるがゆえに起きた弊害とのこと。つまり、免疫力はバランスなので、高すぎても低すぎてもダメということなのである。したがって、「免疫力アップ」という言葉はだいたいインチキだと言っている。ただし、免疫力を上げる唯一の方法があり、それはワクチン。ワクチンは、特定の病原体に対する免疫力を高めて防御するものであり、麻疹や日本脳炎のワクチンなどは有効だと証明されている。また、免疫力をメインテナンスする、言い換えれば正常に維持する方法もある。それは、休養・睡眠・適度な運動・栄養のバランスの取れた食事。要するに普通にすることが一番だと著者は言っている。

 

 さらに、咳をするときに大事になってくるマスクについても触れている。普通に売られているサージカルマスクは飛沫が飛ぶのを防止する道具であるので、感染を起こしていない人がするのは無意味。なぜなら、飛沫というものは飛び散った後、周りの空間にウワウワと漂っていて、マスクを着けていても鼻の横や頬っぺたの横、顎の下などが隙間だらけなので、飛んでいる飛沫がすぐに入ってきてしまうから。つまり、マスクにはウイルスから防御する能力はないのである。著者は「防御のためにマスクを使うべきでない。だから、街を歩く時にマスクを着けないのは全然正しい。」とさえ言っている。これが、著者の言う「感染経路」を理解するということなのである。私は改めてマスクの効用を再認識したが、自分が新型コロナウイルスに感染しているかどうかがはっきりしていない情況では、万が一を考えてウイルスをばら撒いて他人に感染させないためにマスクを着けておくのがマナーなのではないかとも思った。ただし、それを過剰に意識し過ぎて、何が何でもマスクを入手しようと買い溜めしてしまい、本来必要不可欠な医療や介護の現場が困っている状況を惹き起こしているのは逆に利己主義だと思う。そのような人には、社会全体のことを考慮した冷静な行動を求めたい。

 

 最後に、著者は以上のような感染症予防の基礎知識に基づいて、個人でできる対策について次のようにまとめている。

① 手指消毒を徹底すること。

② クラスターの感染リスクが高いことを認識すること。

③ 自分に風邪の症状が出た時はとにかく自宅に居ること。

④ 症状が酷くなってきたら我慢せずに事前に電話で連絡して、医療機関を受診すること。

⑤ 咳やくしゃみをしているなら、病院へ行くときにはマスクを着けること。

⑥ 自分がコロナだと診断されたら、医師の言うことを聞いて療養すること。

どれも今ではすでに常識になっている対策であるが、私個人として反省すると、①の手指消毒の徹底についはまだ甘い点があったのではないかと思う。特に外出から帰宅したらすぐ丁寧な手洗いをする習慣が徹底していなかったので、これからは十分に気を付けよう。

 

    「感染していてもしていなくても、とにかく咳やくしゃみがなければ飛沫感染はほとんど起きないし、ちゃんと手指消毒をやっておけば接触感染もない。そうやって、正しく診断できていなくても、正しく判断はできるのです。」という著者の言葉が、私の心に大きく響いた。