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中高年期における筋トレの適切な行い方とは…~田中尚喜著『百歳まで歩く―正しく歩けば寿命は延びる!―』から学ぶ~

 私たち夫婦は決して猫嫌いではないが、夜中に鳴く親猫や子猫の赤ん坊のような声のために不眠症気味になるので、我が家の裏の狭い敷地やブロック塀の上には猫除けグッツを敷き詰めている。先日、そのグッツを点検していたら、裏のブロック塀の向こう側に幾つか落ちていたので拾おうとして、私はその塀を乗り越えた。若い頃なら簡単に乗り越えられた高さだったが、今の私には少し高すぎたのか、肩や腕にちょっと無理な力を入れてしまった。無事に猫除けグッツは回収したが、その日の夜に首の後ろ側が痛くなり、そのために当夜は睡眠時間がほとんど取れなかった。翌日には、その症状がさらに悪化し首を少し動かしても痛みを感じるようになったので、翌々日、以前に腰椎椎間板ヘルニアを発症した際にお世話になった整形外科病院を受診した。レントゲンを取っての診断結果は、「頸椎の骨には異常が認められないので、寝違えたような症状を起こしている。」ということで、医師からは患部へのシップ薬と痛み止めの薬及び胃腸薬を2週間分、処方してもらった。

 

 それから約1週間経ち、現在は首の痛みをほとんど感じずに何とか首を回すことができる程度まで改善した。痛みで眠れなかった最初の夜、私は「頸椎の骨に何らかの異常が起きたのが原因かもしれない。」という不安が頭で渦巻いていたので、「医師の診断通り、単に首の筋肉を痛めただけだったのか。軽症でよかった。」とほっとした。しかし、普段から入浴時にバスタブの中で、必ず首の筋肉を鍛える簡単な運動を行っていたので、私としてはやや不本意な気持ちになった。もう一度、年齢に応じた筋トレの行い方について全般的に見直す必要があると考え、積読中の『百歳まで歩く―正しく歩けば寿命は延びる!―』(田中尚喜著)に目を通してみた。

 

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 本書は一見するとウォーキングの正しい行い方を紹介しているようだが、それは内容の一部のようなもので、実際は「中高年期から筋力を維持するための筋肉習慣」全般について解説している本である。具体的には、体力や筋力がつく基本トレーニング・筋力低下が原因で起きる各症状の改善トレーニング・腰痛と膝痛の限定トレーニング・歩き方や姿勢を変えるトレーニングなどの行い方を、解説図入りで分かりやすく紹介している。

 

 そこで今回は、本書を読んで学んだ「中高年期における筋トレの適切な行い方」に関する基本的な留意点と、特に私が日常生活に取り入れようと思った筋トレのポイントをまとめてみたいと思う。

 

 まず、基本的な留意点について。筋肉は瞬発力や持久力等で大きく2種類に分類する考え方があり、瞬発力のある筋肉が「速筋」で、持久力がある筋肉が「遅筋」として分けられることは今ではほとんどの人は知っている。そして、「座る、立つ、歩く」といった日常動作に必要な筋肉は、「速筋」よりも「遅筋」が中心になることも多くの人は知っているだろう。しかし、「遅筋」は小ささを補うために、筋肉を構成する1本1本の筋線維が特殊な形状をしていたり、「遅筋」の部分は「速筋」より筋線維の量が多い構成になっている結果、「遅筋」は「速筋」に比べて柔軟性があるので、「遅筋」を中心に行うトレーニングやスポーツは怪我をしぬくいということは、まだ十分に認識されていないと思う。

 

 最近は体力不足を補ったり筋力をアップしたりする目的で、スポーツジムに通っている人が多くなったように思うが、中年になって筋トレを始めた人の中には膝を痛めたり腰を悪くしたりするなどの故障を起こしている人が結構いるらしい。これは、マシーンを使ったトレーニングなど「速筋」だけを集中的に鍛えた結果のようである。したがって、立つことや歩くことを含めて生活の質を維持し、人生において長く現役でいることを目的にする多くの中高年は、身体の表面近くに多くの割合を占めている「速筋」中心ではなく、身体の奥の部分に多くの割合を占めている「遅筋」中心の筋力トレにすべきなのである。

 

 次に、以上のような基本的な留意点を踏まえて、私が自分の日常生活に取り入れようと思った筋トレについて。今まで私は慢性的な腰痛があり、5年ほど前には腰椎椎間板ヘルニアを発症した経験もあるので、それらの対応策として夕食後「ウォーキング」を妻と共に行っている。最近は、脚の筋力アップを意識して「インターバル・ウォーキング」に取り組んでいる。したがって、下半身の筋トレは現状維持でよいので、今回の首の痛みにも関連すると思われる上半身、特に胸や背中・腹等の部位の筋トレを幾つか取り入れたいと考えている。

 

 その一つが、「大胸筋」のトレーニング。立った姿勢で、胸の前で手を合わせる合掌ポーズを5秒間キープして緩める。これを3回繰り返す。手や肩の筋肉に力を入れるのではなく、胸の前面を意識して行う運動。「大胸筋」は、腕を内側に引く時に使われ、身体の中で3番目に大きい筋肉で、これが弱り縮んでいくと背中が丸くなって肩こりの原因になる。老年になっても背筋をピンと伸ばしたよい姿勢を保持するためには、不可欠な筋トレになる。

 

 二つ目は、「脊柱起立筋」のトレーニング。うつ伏せに寝て腕を前に出し、へそから骨盤にかけての位置に薄めの座布団を敷き、ゆっくりと腕で上体を押し上げる。これを5回繰り返す。上体を起こす時に脊柱起立筋に力を入れながら、伸ばしていくように意識して行う運動。「脊柱起立筋」は、直立の姿勢をつくっている最長筋や腸肋筋や多裂筋等の複数の筋肉から構成されており、これが弱ると猫背や中年太り・体型の崩れの原因になる。腹筋と共に鍛えると効果が大きい筋トレになる。

 

 三つ目は、「腹直筋」のトレーニング。仰向けに寝て両膝を立て、両手を膝頭に当てて起き上がれるところまでゆっくり起き上がる。これを5回繰り返す。腰部に激しいストレスを与えないように、必ず膝を曲げて行う運動。「腹直筋」は、正しい姿勢で歩くために不可欠な筋肉で、これが弱ると腰痛や下腹太り・疲れやすくなるなどの原因になる。上述の運動と共に行うと相乗効果が大きい筋トレになる。

 

 以上、上半身に関する3つの筋トレのポイントを紹介したが、どれも目新しいものではない。また、筋トレというイメージの薄い、軽度の運動であるが、実際には強い意志をもって継続的に行おうとしない限り、なかなかやらない運動でもある。だからこそ、私はこれらの運動を日常生活の一部として取り入れて、健康寿命を延ばし、少しでも長く妻や子ども、そして孫と共に楽しく充実した人生を送っていきたいと考えている。“継続は力なり”