毎週土曜日の半日、孫のHは我が家に遊びに来るのが習慣のようになっている。11時前に訪れた先週の土曜日は、日中の温度が35℃近くに上がったので、駐車場の空きスペースを利用してこの夏最後のプール遊びをした。カーポートの上に日差し除け用のシートを乗せて、その下に直径1.2mほどの家庭用のプールを設置したものである。私もHと一緒に入り、水鉄砲遊びに興じたり、水風船を膨らませたりして遊んだ。途中、ガーデンパラソルセットの椅子で休憩し、ソフトクリームを食べたり冷たい麦茶を飲んだりした。1時間ほどの水遊びだったが、Hは大満足していた。その後、「じいじと一緒にお風呂に入りたい。」というので、今度は風呂場で、水温の変化で体の色が変化するカブトムシやクワガタのおもちゃで遊んだり、水鉄砲でお湯を掛け合ったりして遊んだ。
昼食は、ばあばが冷やしそうめんを用意した。Hだけは、特別に用意した簡易の流しそうめんセットを利用して食べた。以前にも一回使ったものだったので、Hは流しそうめんセットを見ると、「楽しそ~う!」と大きな期待を込めた声を発した。そうめんの小さな塊を自分の箸で取り上げ、水が流れる溝の中に入れる度に、そうめんは細長くなって流れていく。それをHは器用に箸ですくい上げ、おいしそうに食べた。お皿に盛り付けていた卵焼きやちくわ、キュウリ、鶏肉等もほとんど完食した。私たち大人も、Hの豪快な食べっぷりに影響されてか、あっと言う間に丼一杯のそうめんを完食してしまった。それにしても、Hは好き嫌いなく何でもよく食べる。離乳食を食べ始めた頃から食欲は旺盛なので、身体の発育はよい。今、4歳6か月で、体重は約20㎏、身長は約120cmあるらしい。すくすく健やかに育つ孫の姿を見るのは、じいじとしてはこの上なく嬉しい。
嬉しいと言えば、私はHと一緒に運動遊びをしながら、Hが今までできなかった動きができるようになったり、より上手に動くことができるようになったりする姿を見るのも大変嬉しい。歩き始めた頃は、我が家の和室に設置している遊具玩具(Hはそれを「アンパンマン公園」と呼んでいる。)の滑り台を怖がって滑ることができなかった。また、ブランコも揺れる感覚が不安だったのか、最初は乗ることも嫌がった。高い所に登るジャングルジムには、見向きもしなかった。しかし、その後、私たちじじばばは近くの児童センターや子どもの家、公園等の施設に機会あるごとに連れて行っては、少しずつ慣れさせていった。もちろんHが通っている保育園でもいろいろと配慮して指導してもらったが、それらの成果も現れて、今では大人がハラハラするぐらいジャングルジムに素早く登り、一番上の所に立ち上がることもできるようになった。
この「アンパンマン公園」以外にも、私たちじじばばは2歳の時のクリスマスプレゼントとして贈った「トランポリン」も設置した。最初は手を持ってやって、「跳ぶ」という基礎的な動きに慣れさせつつ、自分で自主的に取り組むのを根気強く待った。また、「柔らかいボール」をたくさん用意し、いろいろなゲーム方式の運動遊びを体験させながら「投げる」という動きにも慣れさせた。「膨らませたゴム風船」を使った遊びも取り入れて「物を操作する」という動きにも慣れさせていった。さらに、「目と足との協応動作」を素早くするために、3歳の誕生日には「スポーツ育脳マット」という優れものをプレゼントした。
この玩具は、幼児が体力や集中力を培うのにも最適のものである。テレビに接続したスポーツマットの上を足で踏むことで、画面に映し出された様々な対戦型や協力型のスポーツゲームを行うのだが、これが運動量も結構あり運動不足の私にとって運動をするよい機会になっている。最初の頃はわざと負けてやってHを喜ばせていたが、今では本気モードで対戦しても負けることがある。もちろん本気でやって私が勝つこともあり、その時はHが不貞腐れたり怒ったりする。私としては、Hに負けることも体験させ、自分の思い通りにいかなかった時の気持ちとの折り合いの付け方を経験させている。でも、それでもHは私と対戦するのを楽しみにしており、我が家に遊びに来たら必ず「じいじ、対戦しよう。」と声を掛けてくれる。私もHと一緒に遊ぶことがこの上なく楽しい。
先日の土曜日も、やはり「スポーツ育脳マット」で共に楽しく遊んだ。その後で、ソフトクリームを頬張っていたHがそっと口にした言葉を、私は忘れることができない。その言葉とは、「Hは、じいじが0番目に好き!」…初め私は??だったが、Hがその説明をしてくれた。「0番目に好きというのは、1番目より好きということよ。」私は嬉しい気持ちと同時に、Hの順序数の概念理解に感動した。集合数なら0は何もないことになるが、順序数なら1より小さい数になるのだ。だから「0番目に好きというのは、0以下の数字を知らないHにとって最も好きということを表わしている。」Hにとってじいじは、自分と最も楽しく遊んでくれる友達なのであろう。私は、嬉しさと喜びが汗と共にじわーっと溢れ出てきた。