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何でも「歳をとる=老化」のせいにしてはならない!~平松類著『老化って言うな!』から学ぶ~

「歳をとると、眼も老化するからしかたないね。」

白内障の手術をすることにしたよ。」と妻が告げた後の私が言った言葉。

 

「歳をとると、首を痛めることがよくあるよ。」

「原因は分からないけど、首の左側が痛いのよ。」と妻がつぶやいた後の私が言った言葉。

 

 どちらの言葉も、白内障や原因の分からない首の痛みを「歳をとる=老化」の現象と考えての発言である。ところが、ところが…である。それらは、老化ではなく、「心身の正常な変化」であるという、目から鱗の本に出合った。『老化って言うな!』(平松類著)である。

 著者の平松氏は、現在、二本松眼科病院、三友堂病院に勤務する眼科専門医であり、今までに延べ10万人以上の高齢者を診察してきた経験を踏まえて著したのが本書である。眼科専門医でありながら、眼科以外の医療分野にも及ぶ豊富な知識を駆使して、年齢を重ねる中で「変化する自分」に対してちょっとした工夫やモノの見方を改めるコツを紹介している。私は今までに著者の『老人の取扱説明書』や『認知症の取扱説明書』を楽しく読んで役立ててきた経験があったので、書店で本書のタイトルを見た時、即座に購入することを決めた。

 

 そこで今回は、私が本書から学んだことの一部を紹介してみたい。まずは妻が患っている白内障についてまとめてみよう。著者は、目の中のレンズ(水晶体)が濁るという白内障は50歳を過ぎると半分の人がなっていて、誰でも少なからず症状は出ると言っている。つまり、高齢になって白内障になるわけではないのである。もし視界の「暗さ」が気になるのであれば、どの年齢の人でも白内障の検査を受けた方がいいそうである。また、その症状を遅らせるには、紫外線を避けるのが一番なので、サングラスを掛けることを勧めている。かっこをつけるためにサングラスを掛けても、結果的にそれは目にはいいのだ!

 

 次に、原因不明の首の痛みについて。著者は、首を支えている僧帽筋と胸鎖乳突筋等の筋肉を使った運動やストレッチは、安易にするとかえって首を痛めてしまうこともあり、専門家による指導が不可欠だと言っている。だから、首を痛めたからといって「歳をとってしまったから」とか「歳をとって首の力が衰えたから」とか考えたり、「よし、今までさぼっいたけど、頑張って運動しなくっちゃ。」と一念発起したりするのはナンセンスだと諫めている。そう、焦ってはダメ。まず首を痛めた時はとりあえず安静にし、痛みが強い時は医療機関を受診して、治療やリハビリの方法を教えてもらうこと。

 

 でも、首を痛める主な原因は何なのだろうか。著者によると、一番の原因は「首の周辺にある筋肉や組織のこわばり」だそうである。もう少し詳しく言うと、こわばっているということは、血流が悪くなっていること。そこで急に筋肉を動かすと痛みが生じてしまう。朝起きた時に首の痛みを感じる「寝違え」も、原因は同じ。そういう時は、首を鍛えるのではなく、「首を温める!」ことを実践すること。起きている時は、首にストールやマフラーを巻く。夜は、基本的に暖かくして寝る。特に冬場は、快適な室温、軽くて暖かい布団で、首元が冷えないようにして、血流を改善するのがお勧めだそうである。

 

 本書から学んだことをまとめてみながら、これらのことは当たり前のことだと思った。今までにもどこかで見たり、聞いたりした内容のような気がする。なのに、なぜ私は白内障や原因不明の首の痛みを、「歳をとる=老化」のせいにしてしまっていたのだろうか。それは、高齢になってから体調を悪くした時に、その原因を「歳をとる=老化」のせいにしておくと、自分の不勉強や不摂生に目を向けなくていいからである。つまり、自分の普段の生活習慣や生活態度を改めなくて済むからである。今回、本書を読んで、今までに単に知識としては知っていたが実践していなかった様々なよい生活習慣や適切な生活態度を少しでも取り入れようと考えた。そして、何でも「歳をとる=老化」のせいにしてしまう老化現象から脱皮しようと思った。