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私は本当に「汗かき」なのだろうか?~発汗の変動型体質について知る~

 多汗についての悩みを呟いているツイートを見て、つい私は自分の経験を踏まえた考えをリツィートしてしまった。「汗かき」の人には、そうでない人には分からない悩みがいろいろとあるので、多少でも気休めになればいいかなと思ったのである。

 

 私は自分のことを「汗かき」だと思っている。というのは、夕食後妻と共に約50分間ウォーキングする際には、私だけ顔面から滴り落ちるほど汗をかいている。また、職場の仲間とテニスをする際にも、私だけすぐに全身汗びっしょりになってしまう。さらに、精神的ストレスを感じる場面では、自然に腋の下から汗が流れ、その内に顔面から汗が噴き出ることもある。

 

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   そのために、前々からなぜそんなに汗をかくのだろうかという不安な疑問をもっていた。もしかしたらある種の病気が原因なのではないか…などと時々考えてしまう。そのような時にふと立ち寄った書店で、『汗はすごい-体温、ストレス、生体のバランス戦略』(菅屋潤壹著)という題名の新書を見つけた。パラパラと捲ってみると、私の苦手な理系的な内容の記述が目に飛び込んできたが、この際に今まで抱いてきた不安な疑問を払拭しようと思い立ち、本書を購入したという次第である。

 

 さて、本書を読んで私の不安な疑問は払拭されたか。…結論を先に言えば、「概ねイエス」である。ここでは、その理由に関連する内容の一部をまとめておこう。

 

 まず、汗が蒸発すると身体が冷える。この汗の冷却効果は絶大であり、汗は人体のオーバーヒートを防ぐための大切な役割を担っている。暑い環境にいると熱が身体から逃げにくくなり、体温が上昇する。また身体活動は、筋肉の収縮により多量の熱を発生させるため体温が上昇する。これらの体温上昇が大きいほど多量の汗がでる。しかし、汗が止まってしまうとすぐ体温は上昇し、熱中症に直結する。つまり、汗をかくこと自体は、体温を適切に調節する上で必要なことなのである。

 

 次に、汗は皮膚にある目に見えない無数の小さな汗腺でつくられ、その表面に開く小さな穴から外に排出される。汗腺の種類は二種類あり、形は小さいが能力の高いエクリン汗腺と、大型ではあるが能力はそれほど高くないアポクリン腺である。普通私たちの目に見える汗はエクリン汗腺が出したものである。また、汗腺には交感神経が繋がっていて、脳のコントロールセンター(体温調整中枢)からの信号で刺激される。身体の温度センサーから体温上昇の情報を受けると、脳の体温調整中枢は汗腺に送る信号を増やして汗の量を増やす。こうして体温が一定に維持される。この身体の冷却にかかわる汗を「温熱性発汗」という。それに対して、精神的なストレスに反応して起こる汗を「精神性発汗」という。これら二つの発汗は、先のエクリン汗腺で産出されるらしい。つまり、上述のような場面で汗が出るということは、これら身体に備わっている発汗機能が正常に働いていることを証明しているのである。

 

 そこで問題なのは、私が「汗かき」かどうかである。これについて筆者は「自分が汗かきであると思っている人の汗の量を測ってみると、ほとんどの場合は個人差の範囲にある。また、体温も正常に保たれていて体温調整の機能も正常である。」と述べている。ただし、汗の量は時間と共に多少の変動を示すが、この変動が大きく汗の量が周期的に大幅に波打つ人がいる。このような変動型の人は、汗が増えると最大発汗に近い量になり、やがて全身に汗が滴るようになる。そして、このことが気になる人は、自分は「汗かき」と勘違いすることもあるという。「汗かき」の実体はまだ完全には分かっていないらしいが、どうも私も勘違いの一人のようである。今後は自分はあくまで変動型体質だと開き直り、「汗かき」を気にするよりも汗の始末をしっかりとして風邪など引かないように気を配りたい。