2020-01-01から1年間の記事一覧
この冬一番の寒波襲来を知らせるテレビの天気予報を聞いて、寒風が余計に身に沁みる大晦日になった。また、コロナ禍による失業や減収のために困窮した生活を余儀なくされている多くの人が、心細い気持ちで年の瀬を迎えていると思うと、胸が締め付けられる。…
二人の娘たちが幼い頃、私は自分なりの視点で選んで買った絵本を、妻と交互に寝る前によく読み聞かせていた。また、小学生になってから成人して独立するまでの誕生日には、私は娘たちにそれぞれの性格や特性等を考慮して選んだ本をプレゼントの一つとして贈…
気が付いたら当ブログのPV数が、20,000回を突破していた。今日2020年12月21日14:00現在で、20,588回になっていた。2018年12月2日に当ブログを開設したのだから、それから約2年間で20,000回に到達したわけである。…
本年7月14日付けの当ブログの記事で今村翔吾著『童の神』を取り上げて私なりの所感を綴った際に、彼の歴史小説『じんかん』が第163回直木賞を受賞するだろうと予想した。また、その『じんかん』を<羽州ぼろ鳶組シリーズ>第4巻『鬼煙管』より先に読…
2019年1月31日付けの当ブログ「プロレスって、プロのレスリングのことではないの?」と題する記事で、作家・村松友視著の初期プロレス3部作の一つ『私、プロレスの味方です―金曜午後8時の論理―』を取り上げたことがあったが、もともと私は直木賞受…
休日は妻の買い物に連れ添いアッシー君の役割を果たす私だが、その際に老人性のボヤキを呟いている内についつい公憤が湧き上がってしまうような場面に出会うことがある。 今日も今日とて、あるスーパーマーケットの駐車場に自家用車を止めて、ATMでお金を…
先日、介護福祉士の資格をもつ方による「介護のこころ」と題する講演をたまたま聴く機会を得た。約2時間の講演だったが、認知症の高齢者を介護した豊富な経験談をリアルに再現するような巧みな話術に引き込まれている内に、あっという間に時間が過ぎた。笑…
前回の記事を綴って以後、私は「認知症」や「介護」について関心が高まり、近くの書店に行くとそれらに関連する本をつい立ち読みしてしまう。そんなある日、馴染みの古書店の新書版が並んでいる書棚の中から、ある本の書名が私の目に飛び込んできた。『認知…
老親介護を題材に描いて、第5回ドゥマゴ文学賞を受賞したベストセラー小説『黄落』の著者である佐江衆一氏が、先月29日に肺腺がんのために86歳で逝去したことを、翌日の新聞記事で知った。私の書斎前の廊下の隅に置いてある小さな本棚の中には、佐江氏…
俳優の小栗旬氏と星野源氏が初共演して公開前から話題を集めていた映画『罪の声』が、先月30日から劇場公開された。原作は戦後最大の未解決事件である「グリコ・森永事件」をモデルにした塩田武士氏のベストセラー小説で、その発生日時、場所、犯人グルー…
先月の14日(水)の午後、私の勤務するファミリー・サポート・センター(公益財団法人 男女共同参画推進財団内)が主催する講習会で、育児に関する講演を聞くことができた。元幼稚園長のS先生が長年の経験に裏付けされた様々な事例を紹介しながら、「保育…
才能に満ち溢れている若い芸能人の自殺が連鎖している。華やかな芸能界で豊かなタレント性を発揮して注目を浴びている最中なのに、なぜ自殺してしまうのだろうか!?他人から見れば、その動機はなかなかとらえにくい。おそらく、芸能界的な華やかさとは裏腹…
66回目の誕生日を明日に控えて、私はある詩のことを想い起こしていた。言葉とその意味を大切にする詩人・吉野弘氏が書いた「I was born」という散文詩である。私は最初にこの題名に驚き、そしてその内容に心惹かれた。吉野氏自身が「…I was bornさ。受身…
私が中学校・高校時代、部活動として「野球」をしていたことは、以前の記事にも書いたことがある。しかし、その入部の動機については、触れることはなかった。その理由は、幼少の頃から「草野球」に親しんできていたので、「野球部」に入部するのは当然の成…
まだ数冊しか読んでいないが、柚月裕子という作家の作品はとても面白い。その主な理由は、主人公が自分の職業上の正義の実現を目指し、「矜持」をもって行動するミステリー的・サスペンス的な物語展開にある。また、その中で描かれる人間ドラマの感動的内容…
「男女共同参画社会」の実現を目指す事業展開をしている当財団に勤務するようになって、私は「男女共同参画」という視点で身の周りの事象を見直すことが多くなった。その一つが、私と妻との「家事」の分担。結婚して3年ほどして長女を授かった私たち夫婦は…
小さな一歩でも何か行動を起こして「場」を作れば、人が集まり何かが始まるんだなあ…。 「男女共同参画社会の実現」を目指して事業展開している当財団が、9月19日(土)に開催した「公開講座」受講後の、私の素直な感想である。「講演会」と「トークセッ…
今から3年ほど前、初出版から80年も経った『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎著)という本が爆発的に読まれるという現象が起こった。原作はもちろんだが、漫画形式の本も結構売れたらしい。実は自宅の書架にも、この漫画版が並んでいる。妻が読んでみ…
少しまとまった時間が取れそうなので、前回の記事の続きを綴ろうと思う。内容は、先週の日曜日に自宅近くの喫茶店で5時間ほど、D小学校元教頭のI先生に対して私が語った「私の学校経営観や教育観、学習観等について」である。ただし今回は、校長職を務め…
今の仕事を初めて1か月が過ぎ職務内容や職場体制等に慣れてきたが、歳のせいか自宅で読書をしたりブログを書いたりする時間を確保するのが難しい。当ブログの多くの記事は私の課題意識に基づいて読んだ本の所感をまとめるものが多いが、今の生活リズムのま…
数日前に後味の悪い夢を見た。…高校時代の同窓会に参加し歓談をしている場面で、「もう65歳になったから年金を全額受給しているだろう。食うのに困らないだけの収入はあるのに、何のためにまだ働いているんだ?」と、65歳で完全に現役引退したある友人か…
新しい職場までの通勤時間は自転車で10分間ほどなので、身体的に大変楽である。しかし、まだまだ業務内容が分からないことが多いので精神的に疲れるため、帰宅したらぐったりとしてしまう。読書をしたりブログを書いたりする気力や体力が残っていない。夕…
私は本年3月末で第二の人生のファースト・ステージを閉幕し、4月以来ずっと自宅において読書に励んだりブログの記事を書いたりして過ごしながら、セカンド・ステージに立つための就活をしていた。というのは、私は今のところ心身共に健康なので、70歳ま…
前回、私が強い関心を抱いた第3回放送分の解説内容のポイントを整理してみたが、今回は、もう一つの関心事であった第4回放送分、人間関係の相対化の方法としての「個人幻想」について、講師の先崎氏の解説内容のポイントを整理してみようと思う。思うよう…
最近、私は新書版の学術書よりも文庫版の小説を読むことが多くなった。その理由は、梅雨に入って高温多湿の日が多くなったので、特に日中は学術書を読みながら思考を深める知的な気分にならないからである。その点、小説は気軽な気持ちで読み浸ることができ…
5月末から6月末にかけて、NHK・BSプレミアムで『珈琲屋の人々』というドラマが再放送された。舞台は、東京下町の商店街にたたずむレトロな珈琲屋。人を殺めた過去をもつ店主の宗田行介(高橋克典)は、亡き父の「一杯の珈琲が人生を変えることもある…
自宅を新築する前に住んでいた借家は手狭だったために、妻のグランドピアノは実家に置かせてもらい、その代わりに実家に住んでいる義姉のアップライトピアノを借りて板間の廊下に置いていた。そうまでしてなぜピアノを置くことにこだわったかというと、妻は…
前回の記事で『無罪』(深谷忠記著)という社会派心理ミステリーを取り上げて、私は今のところ「刑法第39条」の是非についてアンビバレントな立場であると表明した。そして、もう少し知見を広め思考を深めた上で、自分なりの判断をしたいと記したこともあ…
久し振りに社会派心理ミステリーの傑作を読んだ。『無罪』(深谷忠記著)という作品である。著者の深谷氏は、1982年にジュニア向けミステリー『おちこぼれ探偵塾』(後に『偏差値殺人事件』と改題)でデビューし、その後80年代中頃からは大人向けミス…
2020年上半期、第163回芥川賞&直木賞の発表を明日に控え、今、私はこの記事を書いている。世間的には純文学を対象とした芥川賞の方が、大衆文学を対象とした直木賞よりも文学的価値が高いような評価基準があると思うが、私の興味・関心は直木賞の方…