2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧
最近、私は新書版の学術書よりも文庫版の小説を読むことが多くなった。その理由は、梅雨に入って高温多湿の日が多くなったので、特に日中は学術書を読みながら思考を深める知的な気分にならないからである。その点、小説は気軽な気持ちで読み浸ることができ…
5月末から6月末にかけて、NHK・BSプレミアムで『珈琲屋の人々』というドラマが再放送された。舞台は、東京下町の商店街にたたずむレトロな珈琲屋。人を殺めた過去をもつ店主の宗田行介(高橋克典)は、亡き父の「一杯の珈琲が人生を変えることもある…
自宅を新築する前に住んでいた借家は手狭だったために、妻のグランドピアノは実家に置かせてもらい、その代わりに実家に住んでいる義姉のアップライトピアノを借りて板間の廊下に置いていた。そうまでしてなぜピアノを置くことにこだわったかというと、妻は…
前回の記事で『無罪』(深谷忠記著)という社会派心理ミステリーを取り上げて、私は今のところ「刑法第39条」の是非についてアンビバレントな立場であると表明した。そして、もう少し知見を広め思考を深めた上で、自分なりの判断をしたいと記したこともあ…
久し振りに社会派心理ミステリーの傑作を読んだ。『無罪』(深谷忠記著)という作品である。著者の深谷氏は、1982年にジュニア向けミステリー『おちこぼれ探偵塾』(後に『偏差値殺人事件』と改題)でデビューし、その後80年代中頃からは大人向けミス…
2020年上半期、第163回芥川賞&直木賞の発表を明日に控え、今、私はこの記事を書いている。世間的には純文学を対象とした芥川賞の方が、大衆文学を対象とした直木賞よりも文学的価値が高いような評価基準があると思うが、私の興味・関心は直木賞の方…
前回の記事では、本書の二つの主題の一つ、「認識の謎」の解明と「普遍認識」の可能性について私なりに理解した内容の一端を紹介しながら、読後所感を簡潔にまとめてみた。その中で、「認識問題」を解くことで「普遍認識」に至る際に区別しておかねばならな…
6月23日付で当ブログに「カント哲学の功績とフッサールの現象学との関係について~「100分de名著」における『純粋理性批判』のテキストから学ぶ~」という記事をアップした数日後、近所の大型書店に立ち寄った時のことである。NHKブックスの白い背…
私たち夫婦は決して猫嫌いではないが、夜中に鳴く親猫や子猫の赤ん坊のような声のために不眠症気味になるので、我が家の裏の狭い敷地やブロック塀の上には猫除けグッツを敷き詰めている。先日、そのグッツを点検していたら、裏のブロック塀の向こう側に幾つ…