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「母乳育児」に関する疑問点を解決する!?~山口慎太郎著『「家族の幸せ」の経済学―データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実―』を参考にして~

 前々回の記事「二人目の孫Mとの初対面をやっと果たせました!」に対して、神崎和幸さんが嬉しいコメントを送ってくださった。また、Country TeacherさんからはHatena Starの☆を3つくださり、共に私は大きな喜びを感じました。ブログもSNSの一つだと考えている私としては、何とかそのお礼の気持ちを伝えたいと思って、今この記事を綴っています。皆さんが私のブログ記事に目を通してくださったことだけでも嬉しいことなのに、コメントを書いたり、☆を付けたりしてくださったこと。私の心の中を明るくしてくれました。有難うございました。拙い記事しか書けませんが、これからも暇があれば当ブログに立ち寄ってくだされば幸いです。

 

 さて、その二人目の孫Mを連れて二女が里帰りしてから、早や10日ほどになる。気分的にはもう1か月ぐらい経ったように感じるぐらい、Mの世話に追われる日々である。いやいや、世話に追われているのは二女とばあばの二人。じいじは二人の世話の合間に、自己流の子守歌で寝かしつけたり、お風呂上りに髪を拭いたり、オムツ替えの時に機嫌を取ったりするなどの世話しかしていない。でも、Mの子育てサポートは、私にとって何とも楽しく、充実感に満ちたものになる。幸せを実感!

 

 ところで、Mはまだ生後20日にも達していない乳飲み子なので、空腹のために泣き始めたら当然の如くほとんどは二女が母乳を飲ませている。ただし、夜には粉ミルクも40~60ccぐらい飲ませる時もある。その理由を尋ねてみると、粉ミルクの方が母乳よりも消化するまでに時間がかかるので、眠っている時間が少し長くなるらしい。夜は大人も少しでも長く睡眠時間を確保したいので、そのような対応をしているとのこと。なるほど、こんなことも最初の孫Hの子育てサポートの時には知らなかった。あの時はまだフルで仕事をしていたので、そこまで気に掛ける余裕がなかった。今は、一日中フリーな立場なので、乳児の子育てに関する様々な疑問点が沸いてくるのである。例えば、「じゃあ、最初から粉ミルクで授乳させたらいけないの?なぜ母乳での授乳を優先しているの?」という疑問だ。その理由も尋ねてみると、「母乳育児」は子どもの健康面や発達面でよい効果があるとのこと。「でも、それって本当?仮に本当だとして、育休期間中は母乳育児ができても、復職したら無理だと思うけど、どうするの?そもそも粉ミルク育児はどこに問題点があるの?…」次々と疑問点が浮かんでくる。

 

 そこで今回は、このような「母乳育児」に関する疑問点について、最近読んだ『「家族の幸せ」の経済学―データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実―』(山口慎太郎著)の中でその解決に役立ちそうな〈第2章 赤ちゃんの経済学 3 母乳育児は「メリット」ばかりなのか〉の内容概要を紹介してみようと思う。二女に正確に教えるためにも…。 

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 著者によると、今までの数ある「母乳育児」に関する研究の中で最も多いのは、母乳で育った子どもと粉ミルク(人工乳)で育った子どもを比較するものだそうだが、この研究成果は信頼性が低いらしい。その理由は、母乳で育った子どもと粉ミルクで育った子どもの家庭環境が大きく異なるからである。その点、1996年にベラルーシで行われたカナダのマルギ大学のクラマー教授らが行った母乳育児推進プログラムから生まれた研究成果は、最も信頼性が高く、しかも日本にとっても妥当性のあるものだそうである。

 

 その主な理由を挙げると、おおよそ次のような内容になる。

① 調査目的が、母乳育児促進のための研修を行った病院で生まれた子どもと、行われなかった病院で生まれた子どもを比べることで、「母乳育児」の効果について理解しようとするものであった。

② 医師・看護師・助産師が母乳促進推進のための研修を受ける病院を抽選によって16病院決めた。これらの病院と抽選で選ばれなかった15病院の間では、平均的な質や規模に違いがなく、地理的な偏りもなかった。

③ 結果的に、研修を行った病院で出産したお母さんたちの年齢・学歴・家族構成等は、研修を行わなかった病院で出産したお母さんたちとほとんど変わりがなかった。ただ一点、母乳促進プログラムで研修済みの医師、看護師らに指導を受けたかどうかだけが異なっていた。

④ 調査対象が17,046人の子どもとそのお母さんで、出生時から子どもの健康状態、発達状態を追跡調査した。最新の調査は子どもが16歳時点で行われた。

⑤ ベルラーシは、先進諸国と同様にこのプログラムが実施された当時から基本的な医療体制が整っている上、衛生状態も良好。安全・清潔な水道が整備されており、都市部だけでなく地方部にも十分な数の病院がある。

 

 では、その調査結果はどのようになったのだろうか。その主な内容を次に挙げてみる。

① 「母乳育児」は、生後1年間の子どもの健康面に好ましい影響を与えることが確認された。胃腸炎アトピー性湿疹を抑え、乳幼児突然死症候群を減らしている可能性が示さている。

② 健康面や知能面に対する長期的なメリットは確認されなかった。健康面では肥満・アレルギー・喘息に加え、虫歯についても効果が認められず、知能面では6歳半時点では好ましい効果が見られたものの、16歳時点では効果が消えてしまっているようである。

結論的に言えば、「母乳育児」は乳児にとって健康面のメリットがあることは疑いがないが、その他の一部で喧伝されているメリットは必ずしも確認されたわけではないということである。

 

 以上、私の「母乳育児」に関する疑問点について、本書の中でその解決に役立ちそうな箇所の内容概要をまとめてみた。私としてはこのような知見を基にして、二女に次のようなアドバイスをしようと思っている。

○ 「母乳育児」は、育休期間は乳児の健康面でメリットがあるからできるだけ続けるといいよ。復職したら、可能な時は母乳で、そうでないときは粉ミルクか液体ミルクでの育児という併用型の「混合育児」でいいんじゃないかな。ともかく、「母乳信仰」みたいなものに惑わされずに、自分の生活スタイルに応じた無理のない選択をしたらいいね。(後で気付いたんだけど、復職する前にはもう離乳食へ移行しているんだよネ…。

 

 

 何だか偉そうなアドバイスに聞こえるなあ。まあ実際は、さり気なく本書の内容を紹介しながら対話的に語り掛けてみたい。ただ、この「母乳信仰」みたいなことが、まだまだ世間には流布されている。例えば、「3歳児神話」や「母性愛神話」等々。もちろん私も無意識にどこかで信じている「母親幻想」があるかもしれない。だから、機会があれば関連図書を読んだ上で、その欺瞞性について解明して記事にしてみたいと考えている。