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腎臓の機能低下を防ぐにはどうしたらいいの?~高取優二著『人は腎臓から老いていく』から学ぶ~

 7月20日(木)に当市の医師会健診センターで受けた「日帰り人間ドック」の結果報告書が、8月3日(木)に自宅へ送付されてきた。早速、総合判定を見てみると、何と「5 精密検査を必要とします。」に星印が付いているではないか!一体、何の検査項目が引っ掛かったのだろうか?!私は慌てて検査項目を上から順に目で追った。すると、今までの健診で一度も引っ掛かったことがなかった「尿・腎」の項目に、「5 精密検査を必要とします。」と書かれていた。

 

 私は次にドキドキしながら「指示内容」と「検査項目の数値」等を見てみた。引っ掛かっていたのは、まず「尿蛋白」と「尿潜血」で陽性の判定。また、「尿素窒素(BUN)」で「22.1㎎/dl」(基準値は8.0~20.0㎎/dl)の数値判定。この項目については、報告書の中で「腎臓の機能が低下すると高くなります。」と解説されていた。では、「尿蛋白」と「尿潜血」で陽性は、どのような異常を意味するのだろうか?私は急に不安になってきたので、ネットで検索してみた。「尿蛋白」が陽性と判定されると、「腎疾患(ネフローゼ症候群、糸球体腎炎等)の疑いがある。ただし、健康人でも運動後等に示すことがある。」とのこと。また、「尿潜血」が陽性と判定されると、「腎・尿路系から出血している疑いがある。」とのこと。私の不安はますます膨らんできた。

 

 そこで、私は翌日の4日(金)には市民病院の腎臓内科へ連絡を取って精密検査を受ける日を予約した。そして、5日(土)には三越ジュンク堂書店で『人は腎臓から老いていく』(高取優二著)という本を購入して読み始めた。素人の私にも「腎臓」に関する基本的な医学知識を得られる本だと思ったが、その内容を理解するのに意外と骨の折れる本だった。でも、私としては精密検査を受診するまでには、何としても読了しておきたかったので、読み進めていった。

 本書は、「腎臓の機能や構造」そして「腎臓が衰える原因とその予防」等について、腎臓専門医の著者ができるだけ具体的に解説している本である。本書の後半部では、腎臓の衰えを防ぐための生活習慣を「食」「運動」「呼吸」の3つの観点から紹介していて、透析のための病院通いや寝たきりにならないメソッドが示されているので、私のように「腎臓」に不安を抱える者にとって大いに参考になる。今回の記事では、その中で「腎臓の機能」や「食」に関する内容を含めた「腎臓が衰える原因とその予防」について特に取り上げて、まとめてみたいと思う。

 

 まずは、「腎臓の機能」について手短にまとめておこう。「腎臓の機能」の一つは、人口に膾炙しているように「血液中の老廃物や毒素をろ過し、尿を通じて体外へ排出すること」である。もう一つは、「人体の6~7割を占める水をコントロールしていること」。尿を作る際に、体内の水の量と、そのミネラルバランスを適正な状態にしているのである。もし生命を維持するために重要なこの「血液」と「水」がダメになれば、体中のあらゆる臓器が機能不全に陥り、様々な病気や体調不全に見舞われるようになる。これこそが、「老化」(体内の臓器がアイデンティティを失うこと)の正体なのである。さらに、「腎臓」は「血圧を一定に保つ」「血液(赤血球)を作るように指示を出す」「ビタミンDを活性化する」などといった健康寿命にとって大切な役割も果たしているらしい。

 

 次に、「腎臓が衰える原因とその予防」について。一番の原因は、何といっても「加齢に伴う①粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化) ②メルクベルク型動脈硬化(中膜硬化) ③細動脈硬化という3つのタイプの動脈硬化の影響」である。そのために、糸球体をはじめとする腎臓の組織が機能を失って内部がスカスカになり、腎臓自体が縮小するとともに、腎臓の内部の組織が壊れたり硬くなったりして、役割を果たせない状態になってしまうのである。したがって、「腎臓」の衰えを防ぐには、まずこの動脈硬化への対策が必要になるのである。

 

 以前は「血管に過剰な脂質がたまって、動脈硬化が起こる」と考えられていたが、今では「脂質よりもブドウ糖グルコース)などの糖質の方が問題視」されている。食べ物に含まれる糖質が小腸から吸収されると血液中にブドウ糖が増えるが、その量が多いと「高血糖」になる。すると、ブドウ糖が血管の壁にある内皮細胞から入り込んで傷つけ活性酸素を発生させるが、それが増え過ぎると正常な細胞を攻撃したり物質を劣化させたりする「酸化」という現象を起こす。さらに、内皮細胞に入り込んだブドウ糖は細胞内の蛋白質と結合し、体温で熱せられると「糖化」という現象が起きてAGE(終末糖化産物)を作る。これが体内の正常な組織にくっついて炎症を起こし、たくさんの活性酸素を発生させて、さらに「酸化」されてダメージを負う。こうしてダメージを受けた血管には、動脈硬化が起こるのである。

 

 「血糖値」が高い状態が続くと、やがて糖尿病を発症する恐れがある。その一般的な原因は、膵臓で作られるインシュリンというホルモンの分泌量が減ったり、その効きが悪くなったりすることである。糖尿病の3大合併症の一つ「糖尿病性腎症」は、慢性腎臓病の一つで、老廃物を取り除いて血液を浄化する透析の原因となる病気の第一位になっている。したがって、このような事態に陥らないように、腎臓の血管を守るために「血糖値」の上昇を抑えることが重要になるのである。

 

 また、動脈硬化を防ぐために、体内で合成されない「必須アミノ酸」の取り過ぎによる「老化」にも気を付けることが大切である。特に「必須アミノ酸」の一つであるメチオニンを過剰に摂取すると、血管の中に蓄積して悪玉コレステロール(LDLコレスチロール)と結合することで、動脈硬化を引き起こす。メチオニンは、鶏肉や牛肉等の肉類や鶏卵、マグロやカツオなどの魚介類、牛乳やチーズなどの乳製品、豆類や納豆といった大豆が原料の健康食品に多く含まれている。これらは高齢者でも必要とされる栄養素を含む食品だが、食べ過ぎると体内で上手く利用されず蓄積していくことで血管等にダメージを与える場合がある。くれぐれも留意しなくてはならない。

 

 さらに、私たちが生きていく上で必須のミネラルで、体を動かすためのエネルギーになったり、代謝等で重要な役割を担ったり、骨格を形成したりする働きがある「リン」も過剰摂取してしまうと、動脈硬化を引き起こす原因になる。現在、私たちがよく利用する加工食品に含まれる「無機リン」の摂取が多くなっているので、この点にも気を付ける必要がある。次に気を付ける必要があるのは、腸から吸収されやすい有機リンが豊富な動物性蛋白質で、その中でも特に乳製品である。したがって、先に述べたメチオニンの観点からも、蛋白質はできるだけ植物性の食品から摂取するようにした方がよいようである。

 

 以上、本書の中でも特に「腎臓が衰える原因とその予防」に関連した内容の一部をまとめてみたが、もちろんこれらの内容以外にも参考になることがたくさんあった。できれば、「第5章 元気な腎臓を取り戻す3つの方法」の内容についても紹介したかったが、キーボードを打つ手が疲れで痺れてきたので今回はこの辺で終わりにしたいと思う。

 

    ただし、最後の最後になって大事なことを書き忘れていたことを今、気付いた。それは、最初に少し触れた精密検査に関することである。私は今月14日(月)に地元の市民病院の腎臓内科で、尿及び血液検査やCT撮影等の精密検査を受けて、担当の腎臓専門医からその結果について次のような内容を聞かされた。「尿及び血液検査の数値は基準値の誤差の範囲であり、CT撮影の画像分析でも異常を認めなかった。」・・・私の腎臓の機能には特に問題がなかったのである!何だか拍子抜けの気分だったが、安堵の気持ちが湧き上がってきたのも事実である。これからも本書で学んだことを実践しながら、腎臓がなるべく衰えないようにしていきたいと考えている。