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「人生・生き方」「教育・子育て」「健康・スポーツ」などについて考え、雑学的な知識を参考にしながらエッセイ風に綴るblogです。

「病気をつくる運動」より「健康をつくる運動」を!!

   運動やスポーツをすることが原因で健康障害を起こす場合もあることについては、前回の記事で触れた。そこで、今回は「運動と健康の関連性」について書いてみたい。

 

 「運動をすれば、健康になれる-。こんなおそろしい思い込みを正すために、私はこの本を書きました。」と、『なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?』の著者・東京都健康長寿医療センター研究所老化制御研究チーム・副部長で医学博士の青柳幸利氏は「はじめに」で述べている。私は、「では、運動は健康を害するのか?運動と健康の関係性をどうとらえればいいのか?」という疑問をもち、本書を一気に読んでみた。ここでは、その疑問に対する回答らしきことを、私なりに読み取ったレベルでまとめてみたい。

   

    まず、最初の疑問について。結論を先に言えば、「運動はその人の年齢に即した最適な強度(中強度)で行えば健康になるが、それ以下の強度(低強度)でもそれ以上の強度(高強度)でも健康に悪影響を与えてしまう。」ということ。このことは、「特別な運動やスポーツの習慣がなくても、一定時間、中強度で体を動かしている人は、健康を維持し、病気になりにくい。」ということでもある。つまり、「健康のために運動を習慣化していなくても、日々の家事や買い物・仕事・散歩等に中強度の動きを取り入れていれば、健康な生活を送ることができる。」のである。

 

    では、「中強度」とは、どの程度の活動・運動のことをいうのだろうか。

 

    身体活動・運動の強度は、「メッツ」(METs)という言葉で表し、体を安静にしている時を基準(1メッツ)にして、体を動かした時にどのくらいエネルギーを消費するかを見る単位である。メッツは、活動量が最も多い20数メッツまであるが、消費カロリーが少ない方から順に「低強度」→「中強度」→「高強度」に分類される。次に、それぞれの活動強度の目安を示しておこう。

低強度:1~3メッツ未満(簡単な家事、ゆっくりとした散歩、ゲートボールなど)

中強度:3~6メッツ未満(速歩き、犬の散歩、山歩きなど)

高強度:6メッツ以上(ジョギング、かけ足、ジャンプなど)

 

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    ただし、メッツも年齢によって、次のように「中強度」といえる数値は変わってくる。

○ 60代以上…3.0~4.9メッツ 

○ 40~50代…4.0~5.9メッツ 

○ 20~30代…5.0~6.9メッツ

 

 では、さらに「中強度」の身体活動は、どのように決まるのだろうか。

 

    一般に「中強度」は、各個人の最大メッツの半分前後と定義されている。簡単に言えば、「もう限界!という運動をした時の半分程度の酸素が消費される運動の強度」のこと。例えば、私にとっての「中強度」の運動は、軽いウエートトレーニングや体操・ボウリング・水中運動・卓球等になる。だとすれば、私にとってテニスは「高強度」になってしまうではないか。やりすぎには注意しないと…。

 

 最後に、著者が唱える「メッツ健康法」について。これは、日常の身体活動の量(歩数)と質(活動強度)のバランスを「一日8000歩、20分の中強度の身体活動」にすれば、健康長寿の遺伝子にスイッチが入り、様々な病気を予防して健康で長生きができるという考えを基にしている。ただし、これはあくまで目安なので、根を詰めすぎて雨の日も風の日も体調の悪い日も、「何が何でも毎日達成しないといけない」と追い込む必要はなく、年間を通しての平均で目標を達成すればよいとのこと。大切なのは「長続き」することなのである。決して「健康のためにはこの健康法を死んでも頑張る」というような、笑うに笑えない「健康という病」には、ならないようにしたいものである。