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約3か月振りに馴染みの喫茶店へ出掛けました!~「まん延防止等重点措置」の解除を受けて~

 10月になり、全国的に「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」が全面解除になった。本県もしばらく継続されていた「まん延防止等重点措置」が解除になり、我が家でも今まで継続していた外食自粛を解禁することにした。まずは、2日(土)の午前中、約3か月間も行っていなかった馴染みの喫茶店へ、妻と共に遅い朝食をとるために出掛けた。もちろん出発前には不織布のマスクを正しく着けることは忘れず、さらに店内に入るとすぐに手指消毒を徹底して行った。店内は、池の中を悠々と泳ぐ大小の金魚を描いたちぎり絵の作品群が飾っている壁面、秋の草花を活けている華やかな花瓶を整然と並べている出窓棚、優雅なメロディーラインのクラシック曲が静かに流れるBGMなど、相変わらず居心地のよい雰囲気。私は安らぎに似た気分に知らぬ間に浸ることができた。

 

    中年の主婦らしき店員が水の入ったグラスを持って注文を聞きに来ると、妻は迷うことなくモーニング・サービスの「おにぎりセット」を2つ頼んだ。久し振りなので、家を出る前に二人で何を注文するか相談して決めていたのである。しばらくすると、まず漆塗りのお椀に入った当店自慢の味噌汁2椀と二人分のスプーンや箸等の入った四角い網籠を、先ほどの店員が運んできた。そして、適度な大きさのわかめや玉葱、豆腐の入った薄味の味噌汁を一口二口ほど啜っていたら、次の写真のような「おにぎりセット」が運ばれてきた。

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 私たちは早速、ドレッシングのかかった野菜サラダから口に入れた。食事中の血糖値が急に上がらないように、私たちは野菜のサラダや酢の物等から先に食べる習慣を身に付けているからである。トマトやきゅうり、キャベツ、玉葱がとても新鮮だった。職場で私が昼食として注文する市営食堂の弁当に入っている萎びかけのキャベツの千切りとは、大違い!

 

 次に口にしたのは、茄子と厚揚げ、インゲン豆が入った煮物。出汁がしっかりと染みた具材は、やはり薄味だったので、これも身体に優しいものだ。私は煮物と交互に味噌汁も味わおうと思った。その時、ふと小さい頃に味噌汁の中にゆで卵の黄身を崩して啜っていたことを思い出した。実際にゆで卵の殻を丁寧に剥がし、白味の部分だけ先に食べ、黄身の部分を味噌汁に入れて潰しながら啜ってみると、本当に懐かしい味がするとともに、当時の貧しい日常的な風景まで脳裏に蘇ってきて、鼻の奥がつんとした。私は味覚と記憶との関連は結構深いのだなあと、暫し複雑な感慨に耽ってしまった。

 

 私は、煮物と味噌汁を交互に口に入れつつ、その合間に雑穀米のおにぎりも頬張ってみた。海苔と雑穀米が混ざった素朴な味が口の中に広がり、これまた身体が喜んでいるような感じがした。でんぷん質とたんぱく質が主な栄養素である白米に比べて、雑穀はミネラル類、食物繊維のほか、抗酸化作用によって生活習慣病などを抑制するといわれるポリフェノールが豊富である。だから、白米に交ぜて炊くだけで、同じ量なら低カロリーになり、食物繊維やミネラルを手軽に補給することができる。できれば毎日食べると、その健康効果が上がるが、今のところ我が家ではたまに雑穀米を食べるぐらいの食習慣しかない。でも、この喫茶店で「おにぎりセット」を注文する時には、必ず白米ではなく雑穀米のおにぎりにするようにしているのである。

 

 さて、主食や副食を平らげた私は、デザートに手を付けた。半切れの温州ミカンの皮を丁寧に剥がして二口で食べてしまった後、ヨーグルトの上に載っていた野イチゴの実のようなものをそっとスプーンで掬って舌の上で味わうと、ちょっと酸っぱい味がした。やはり野イチゴの味がした。次に、私はヨーグルトだけになった小さな器に、皮を剥いだバナナの小片をスプーンで削るようにして落とし、そのスプーンを使って混ぜ合わせた。私は、ヨーグルトに塗したようなバナナの小片を食べるのが好みなのである。一市民のささやかな食のこだわりだが、それが満たされただけでちょっと幸せな気分になる。私は安上がりな男だなあと、多少自虐的な気分も重なり、知らぬ間に素早く呑み込んでしまった。

 

 私たちが「おにぎりセット」をほぼ食べ終わる頃を見計らって、先の店員が当店自慢のブレンドコーヒーを持ってきてくれた。以前の当ブログの記事でもこの喫茶店ブレンドコーヒーの味を紹介したことがあるが、コクのある苦みとささやかな酸味が仲良く同居しているすっきりした味は、これまた私好みなのである。妻は数口で飲み干してしまったが、私は一口一口じっくりと味わうように飲んだ。身体に沁み込ませるように味わいながら飲むのが、私のコーヒーの飲み方である。妻の豪快な飲み方に比べると、女々しい(表記において女を重ねており、この言葉はセクハラ言葉なのか!)飲み方のようだが、小さい頃にひもじい思いをしてきた私にとって、普通に食事ができることがこの上なく幸せなことなので、どうしてもじっくりと味を確かめながら飲食したいのである。ブレンドコーヒーを味わいながら、私は自分を貧乏性な男だなあと、やはり自虐的な気分になっていると、コーヒーカップの底が白一色になってしまっていた。

 

 久し振りに妻と共に馴染みの喫茶店で外食し、「おにぎりセット」の味を堪能しながら複雑な気分も味わったが、この時の気分は私にとって決して悪いものではなかった。過去との懐かしい出会いの機会にもなったし、現在の幸せな環境にある自分を相対化する機会にもなった。やはりたまに外食をすることは、日常的な生活意識を活性化するきっかけになるのだなあと改めて自覚した。これからも、本県独自の最大警戒レベル「感染対策期」から引き下げた「感染警戒期」以下の場合には、新型コロナウイルスの感染防止策を徹底しながら、機会を見つけては妻と共に外食しようと思った今日の心であった。