ようこそ!「もしもし雑学通信社」へ

「人生・生き方」「教育・子育て」「健康・スポーツ」などについて考え、雑学的な知識を参考にしながらエッセイ風に綴るblogです。

接続詞の使い方って、簡単そうで実は難しいのだ!~石黒圭著『文章は接続詞で決まる』から学ぶ~

   本ブログの記事を綴る時にいつも私が願っているのは、「読者にとって役に立つ知識を分かりやすく、しかも印象に残るような文章を書きたい。」ということである。そのためには、まずは雑学的な知識とは言えその内容を正確に理解し、それをできるだけ平易な文に表しながら文章全体を構成することが大切になる。また、文と文、段落と段落をいかに円滑に繋いでいくかということも大切である。つまり、それらは接続詞を効果的に使用して、文章を分かりやすく読みやすいものにすることなのである。

 

 そこで、私は地元大学の看護科の学生に特別講義「役に立つ読解力を身に付けよう」を行うための教材研究を兼ねて、接続詞について少しは勉強しようと思い立ち、『文章は接続詞で決まる』(石黒圭著)という新書を購入して読んだのである。本書は、文学博士で文章論を専門にしている石黒氏が、読者に接続詞の全体像を正しく把握してもらうとともに、実際の文章を書くときに役立つ接続詞使用の勘どころについて身に付けてもらおうと執筆したもので、次のような三部構成になっている。一部(第1章~第2章)は、接続詞の定義や役割について検討している総論。二部(第3章~第8章)は、接続詞全体を「論理の接続詞」「整理の接続詞」「理解の接続詞」「展開の接続詞」「文末の接続詞」に分け、個々の接続詞の用法や使用の際のポイントについて説明している各論。三部(第9章~第11章)は、どんな文章にどんな接続詞をつけたら読みやすいか、読み手の印象に残るかといったことを具体的に検討している実践編。

 

   そこで今回は、私が本書から学んだことの中で特に心に残った内容の概要を紹介したいと思う。

 

    まず、接続詞の定義について。著者によると、接続詞は専門的にはかなり曖昧な位置にある品詞であるらしい。そもそも接続詞という品詞を認めない立場もあり、接続詞を認める立場であっても、副詞や指示詞、接続助詞との境界線が問題になると言う。そのため、日本語学の世界では「接続表現」という言葉で一括するのが一般的になっているが、多く人にはなじみがないので本書では「接続詞」という名称で扱うと断っている。そして、以上の内容を踏まえて、接続詞の定義を「接続詞は、独立した先行文脈の内容を受けなおし、後続文脈の展開の方向性を示す表現である。」としている。私は、この定義は素人でもよく分かる的確なものだと感心した。

 

    次に、接続詞の役割について。著者は、「接続詞は書き手のものでもあり、読み手のものでもある。」と言う。書き手のものの側面としては、接続詞は複雑な内容を整理し、書き手があらかじめ立てた計画に沿って確実に文章を展開させたいときに力を発揮する。また、読み手のものの側面としては、接続詞が読み手の理解のために果たしている多様な機能を挙げている。それは、「連接関係を表示する機能」「文脈のつながりをなめらかにする機能」「重要な情報に焦点を絞る機能」「読み手に含意を読みとらせる機能」「接続の範囲を指定する機能」「文章の構造を整理する機能」の六つである。本書では、六つの機能についても詳しく論じてあり、読んでいて「なるほど!」と納得することが多かった。

 

 最後に、接続詞の特別なものである「文末の接続詞」について。著者は、接続詞全体を四種十類のタイプに分け、各タイプ別の用法や使用の際のポイントを詳説しているが、特別なものの一つとして「文末の接続詞」を取り上げている。私は最初、「文以上の単位を結ぶ接続詞って、普通は文頭にあるのではないの?」と疑問に思った。しかし、著者の「理論的な観点からは、ある種の文末表現が接続詞と共通する機能を果たしている場合(「文末接続詞」と呼ぶ)は、接続詞に準じて扱った方がその位置付けが明確になる。また、実用的な観点からも、実際に文章を書くときに役に立つ。」という主張に納得することができた。本書では、「文末接続詞」の否定の具体例として「のではない」系や「だけではない」系、疑問の具体例として「か」、説明の具体例として「のだ」系や「からだ」系、意見の具体例として「と思われる」系や「のではないか」系・「必要がある」系などの役割を説明していて、私にとって大変参考になるものになった。日本語には文末にも接続詞に相当する表現があることを頭に入れ、文頭の接続詞だけでなく、文末表現にも強くなっていきたいものだ。

 

 私は今までも文章を書く際には文脈の展開を意識しながら、自分なりに適切だと思った接続詞を使用してきたが、本書を読んで改めて接続詞について勉強してみて「接続詞の使い方って、簡単そうで実は難しいのだ!」ということを痛感した。今回学んだことを本ブログの記事を綴る際にも、できるだけ活かしていくつもりである。できるだけ…ネ。