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やっと教員対象の哲学対話にチャレンジできるぞ!~河野哲也[編]『ゼロからはじめる 哲学対話』から学ぶ~

 やっと秋の気配を実感するようになったと思っていたら、10月も下旬になっていた。仕事関係では初旬から「就学児を対象とした秋の教育相談」の運営を行う事務局の業務に追われたり、自身が相談担当をして審議資料を作成したり、中旬には「特別支援学級に在籍する子ども対象の体育大会」の準備や当日の運営等の業務もあったりした。また、その間にも各学校への訪問相談をする業務をこなすなど、何かと慌ただしい日々が続いていた。

 

    また、私的にも孫Hの「秋祭りの提灯行列」や「小学校の運動会」等の行事に参加したり、新居浜市の住んでいる孫Mの所へ行って一緒に遊んだり、また、市教育会の地区支部長の立場で来賓として校区中学校の体育大会へ参加した際に出会った県議会議員の方や近隣の県立高校の校長先生との面談も急遽行うこともあって、休日にゆっくりと休養を取ることはできなかった。さらに、運転免許証の更新手続きや自家用車の定期点検等への対応にも追われ、その上に10月19日(木)が私の満69歳の誕生日だったので、毎日が本当に目まぐるしく過ぎていく感じであった。

 

 そのような公私共に多忙な日々の中で、新たな行動目標を見つける出来事があった。それは、10月6日(金)の夜に開催された「愛媛の探究をつくる会」に久し振りに参加して帰る際に、主催者の0先生から「12月の当会で、探究的な学びに関する哲学対話のファシリテーターをしてほしい。」と依頼されたのである。その時、私は「やっと教員対象の哲学対話にチャレンジできるぞ!」と心の中で叫んだ。というのは、私が「哲学対話」について初めて知り、できれば自分がファシリテーターとして実践してみたいと考え出したのが約4年前であったが、今まではコロナ禍で実施することができなかったり、私自身がフルタイムの仕事を続けて来ていたのでその機会を作れなかったりしたために、なかなかそれを実現することができなかったのである。

 

 今回の依頼は、私のその願いを実現するよい機会である。私は、今までに読んできた「哲学対話」に関する書籍を読み直すとともに、しばらく積読状態にしていた『ゼロからはじめる 哲学対話』(河野哲也[編])をわずかな時間を見つけては読み継いできた。そして昨日、本書を読了したので、今回の記事はその所感をまとめてみることで、初めての「哲学対話」のファシリテーターとしての予習代わりにしてみようと思う。

 本書は、哲学カフェや子ども哲学をこれから実施してみたいと考えている人や、すでにそれらを実施しているけれど、いろいろと疑問を抱いていたり上手くいかないで悩んでいたりする人に向けて書かれた「哲学プラクティス・ハンドブック」である。特に哲学対話を誰もが参加しやすく、互いに理解しやすいように、その場を円滑にする司会役である「ファシリテーター」を初めて担う私のような者にとって、目的に応じた哲学対話を開催・運営するためのノウハウが詰まった内容は、大変に参考になる一冊である。そのような本書の中で、私が一番参考になったのは「第3章 対話の実践方法/3 対話の進め方・終わり方」だった。

 

    そこで、特に参考になった内容を以下に要約してまとめておきたい。

【対話の始め方】

〇 「ファシリテーター」は、対話を主導したり指導したりするのではなく、あくまで主役である参加者の対話のサポートをする。

〇 哲学対話に初めて参加する人が多い場合、まずは哲学対話とは何か、哲学対話では何をするのかを簡単に説明するとよい。また、対話のルールや心得えを用意している場合は、ここで説明する。

〇 対話を始めるに当たって、緊張をほぐして和やかな雰囲気をつくるための簡単なウォーミングアップ(席替えや問答・質問ゲーム、コミュニティーボールを使った自己紹介等)を行ってもよい。

〇 ウォーミングアップ後に、テーマは決まっていない場合やテーマは決まっているが問いが決まっていない場合はテーマや問いを挙げ合うようにする。

〇 問いがいくつか出たところで、参加者の了解を得て挙手による多数決か、「ファシリテーター」の判断かで決める。問いは一つに絞る方が賢明である。

〇 時間があれば、その問いをめぐって各自が思い浮かべることや関連する個人的な経験を述べ合うと、地に足の着いた対話を進めることができる。

【対話の進め方】

〇 参加者が主役で、参加者の間で対話が成立することが主目的である。

〇 「ファシリテーター」は参加者の発言を丁寧に受け止めながら、徐々に参加者の間で対話が成り立つようにもっていく。

〇 参加者の発言が活発でない場合、一人一人に「いかがですか。」「ご意見はありますか。」「どう思われますか。」などと発言を促したり、順番に発言してもらったりなどするのもよい。

〇 逆に参加者の発言が活発すぎる場合、「ちょっと待ってください。」「もう少しゆっくり行きましょう。」などと対話の速度を緩めたり、「もう一度言っていただけますか。」と言い直しを求めたり、「それは~ということでしょうか。」と内容を確認したりするのもよい。

〇 「ファシリテーター」は対話に関する責任をすべて負う必要はなく、必要があれば対話の進行に関する対話(メタ・ダイアローグ)をしてもよい。

【対話の終わり方】

〇 哲学対話は結論の出ないまま終わる(オープンエンド)のが普通である。そのため「終了時刻が来たから終わります。」と宣言して、唐突におわることがほとんどである。

〇 時間的、心理的に余裕があれば、「今のもやもや感を大切に持ち帰って、考え続けてください。」という言葉を添えるなど、終了後も考え続けるような終わり方を工夫するとよい。

〇 十分に時間があれば、対話に関する対話(メタ・ダイアローグ)のためにまとまった時間をとるのもよい。対話の内容や展開の確認だけでなく、「ファシリテーター」の進め方に対する疑問や、対話が面白かった/面白くなかったのはなぜかなど、対話の在り方に関する振り返りをすることもできる。

 

 12月に開催予定の「愛媛の探究をつくる会」における哲学対話のテーマは、「探究的な学びについて探究する」である。問いについては、私なりの腹案はあるが当日参加された方々から出してもらった問いから選ぼうと考えている。何分、「ファシリテーター」をするのは初めてなので、どのような哲学対話になるか不安であるが、上述した内容を踏まえて参加者の方々と哲学対話を楽しむようにしていきたいと考えている。実際の哲学対話の概要については、改めて当ブログの記事で紹介したい。乞うご期待!