ようこそ!「もしもし雑学通信社」へ

「人生・生き方」「教育・子育て」「健康・スポーツ」などについて考え、雑学的な知識を参考にしながらエッセイ風に綴るblogです。

2022-01-01から1年間の記事一覧

教育学のメタ理論体系について~苫野一徳著『学問としての教育学』から学ぶ~

昨年7月から本市教育委員会の学校教育課で特別支援教育指導員として勤務し始めて、この4月で10か月目を迎えた。年度が変わって職場環境が4階の学校教育課分室から3階へ移動し、7名の指導員の座席も通路を挟んで4名と3名の2つに分かれるという変化…

山間部の中学校に勤務していた頃の苦い経験を振り返る!~池永陽著『青い島の教室』をきっかけにして~

当ブログの以前の記事(2020.7.28/2021.5.16付け)で取り上げた『コンビニ・ララバイ』や『珈琲屋の人々』シリーズの著者である池永陽氏の『青い島の教室』という作品を読んだ。都内の中学校で体罰問題を起こし、伊豆諸島の離れ小島に飛…

グレーゾーンにこそ<生きること=学ぶこと>の醍醐味がある!~千葉雅也著『現代思想入門』の「はじめに 今なぜ現代思想か」に共感して~

最近、私のTwitterのタイムラインで評判になっている『現代思想入門』(千葉雅也著)を読んでみた。今、再度読み直しているのだが、改めて「はじめに 今なぜ現代思想か」の内容が私の心に深く沁み込んでくる。というのは、今から約30~40年前に私が地元…

脱原発を志向する哲学とは?②~國分功一郎著『原子力時代における哲学』から学ぶ~

前回は、私の原子力に対する認識の再構成を図るきっかけにすべく読み始めた『原子力時代における哲学』(國分功一郎著)の本編前半の概要についてまとめた。まず、核兵器に対する絶対的な拒否の半面、「原子力の平和利用」という原発については大勢が受け入…

脱原発を志向する哲学とは?①~國分功一郎著『原子力時代における哲学』から学ぶ~

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって約3週間が過ぎた。ウクライナ軍の思わぬ抗戦に遭って戦争が長期化してきたために、プーチン大統領は当初の思惑とは違った展開になり焦っているのではないか。国際的な非難はもとより、膨大な軍事費や国内経済…

「解離性障害」って何?~柚月裕子著『ウツボカズラの甘い息』を読んで~

ロシアによるウクライナへの武力侵攻が激化し、3月4日には稼働していたウクライナ南部にある欧州最大級のサポロジェ原発を砲撃し、制圧した。稼働原発への軍事攻撃は史上初であり、もし誤って稼働している原子炉を砲撃していたら1986年のチェルノブイ…

ネットなどの二次的情報の後追いへの偏重に気を付けて!~養老孟司著『子どもが心配―人として大事な三つの力―』から学ぶ~

長年愛用している腕時計の電池が切れて針が動かなくなったので、近くのイオンモールに入っている時計店へ持って行った。電池を入れ替えてもらっている間に、階上のフロアに入っている書店で新刊の本を物色していたら、気になる新書を見つけた。東京大学名誉…

出臍コンプレックスについて~帚木蓬生著『風花病棟』所収「チチジマ」に触発されて~

今年の1月、埼玉県ふじみ野市の住宅地で、男が散弾銃を発砲し、在宅クリニックの医師を殺害するという事件があった。殺された医師は、その人柄や診療振りが地域の人々や患者から評判のよい良医だったという。長らく介護していた母親を事件前日に亡くした容…

「子ども虐待」という発達障害?~杉山登志郎著『発達障害の子ども』『発達障害のいま』を読んで~

「子ども虐待」によって死に至らせたのではないかと思われる痛ましい事件が起こった。テレビニュースによると、神奈川県大和市で母親が7歳になる次男を窒息死させたという殺人容疑で逮捕されたらしい。今までに、その母親の長男、長女、そして三男も、生後…

発達障害のある子の育て方で大事なポイントについて~本田秀夫著『子どもの発達障害―子育てで大切なこと、やってはいけないこと―』から学ぶ~

昨日、新型コロナウイルスの第3回のワクチンとして半分量のモデルナを接種した。テレビニュースによると、「第1・2回がファイザー、第3回がモデルナという交互接種による抗体の増え方は第3回もファイザーを接種した場合よりも約1.5倍あるが、副反応…

哲学とは何か?~萱野稔人著『哲学はなぜ役に立つのか?』から学ぶ~

私は今までの人生において様々な困難に出合った時、それをどのように克服すればよいかと思案する中で、ともすると安易で短絡的な解決策を取ろうとする気持ちが起きることがあった。しかし、その度に「それでいいのか。その解決策は自分の良心に恥じない選択…

「伝達>生成」モードの授業を「伝達<生成」モードの授業へと転換していこう!~伊藤亜紗著『手の倫理』から学ぶ~

当ブログの2021年9月19日付けの記事で、『日本哲学の最前線』(山口尚著)という新書を取り上げた際に、日本の「J哲学」の担い手の一人である美学者・伊藤亜紗氏の『手の倫理』について言及した。記事の中で、私は本書で使用されていた「道徳」と「…

特別支援教育って、「発達障害」のある子どもたちを支援する教育のこと?~岡崎勝編著『発達障害 学校で困った子?』から学ぶ~

愛知県名古屋市で40年以上、小学校教員を経験して現在は非常勤講師(理科)をしている「岡崎勝」という人がいる。おそらくもう70歳を迎えようとする年齢ではないかと思うが、今から約30年前に私は彼の名前をある本を読んで知った。その本というのは当…

コロナ禍で「濃厚接触」という言葉の導入がもたらした副作用について~古田徹也著『いつもの言葉を哲学する』から学ぶ~

新型コロナウイルスのオミクロン株の感染力がすごい。東京都はあっという間に過去最高の1万人超えになり、本県でも過去最高の新規感染者数を連日記録している。今のところ重症化するリスクは低く、無症状や軽症の陽性患者が多いらしい。しかし、だからとい…

生活保護受給者のケースワーカーの矜持とは?~柚月裕子著『パレートの誤算』を読んで~

懲りもせず、また読んでしまった。…私はある小説家の作品を最初に読んで気に入ったら、その人の他の作品も読んでみたくなり、機会を見つけては次々と読んでしまう癖がある。年初めの勤務日の昼休みに職場近くの市立図書館で借りて、ここ一週間ほど同時並行で…

町内に駄菓子屋さんがあった頃の思い出、あれこれ~上原隆著『こころが傷んでたえがたき日に』に触発されて~

「成人の日」の祝日を含んだ先週末からの三連休は、フジグランやニトリなどへ妻と一緒に日用雑貨やソファベットを買いに行ったり、久し振りに孫Hが「ランバイク」(商品名「ストライダー」)専用のコースを設置しているオフィシャル・パーク「マテラの森」…

「皮膚感覚」の敏感さと「姿勢保持」の弱さとの関連について知る!~長沼睦雄著『子どもの敏感さに困ったら読む本―児童精神科医が教えるHSCとの関わり方―』から学ぶ~

新年になってあっという間に、新型コロナウイルスの感染が急拡大してきた。“第5波”が収束してしばらく感染者が少なくなっていたので、昨年は大事をとって控えていた年末年始の帰省や旅行をする人が増えて人流が活性化したことや、デルタ株よりも感染力が強…

「吃音」が出る時とその対処法について~伊藤亜紗著『どもる体』から学ぶ~

新年が明けて2日のお昼には長女夫婦と孫Hが、3日のお昼には二女夫婦と孫Mが、年始の挨拶代わりに我が家を訪れて一緒におせち料理やお雑煮等を味わってくれた。老夫婦だけの食卓とは違い、正月らしい賑やかな食卓になった。また、それぞれの孫と一緒に遊…