ようこそ!「もしもし雑学通信社」へ

「人生・生き方」「教育・子育て」「健康・スポーツ」などについて考え、雑学的な知識を参考にしながらエッセイ風に綴るblogです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

凶悪犯罪を起こした少年の犯行動機と「広汎性発達障害」との関連について考える~佐藤幹夫著『十七歳の自閉症裁判―寝屋川事件の遺したもの―』から学ぶ~

前々回の記事で取り上げた『子どもが巣立つということ―この時代の難しさのなかで―』(浜田寿美男著)の中に、2005年2月14日に大阪府寝屋川市で17歳の少年が出身小学校の3人の教職員を殺傷するという事件(以下、寝屋川事件)が起こったことについ…

PV数がとうとう10,000回を突破!これからの当ブログの運営方針について展望する

平成30年12月2日に当ブログを開設してから1年4か月足らずを経て、PV数がとうとう10,000回を突破した。私にとって、10,000回という数は夢のような数字。PV数が5,000回を突破した時(2019〈令和元〉年9月20日)には、それ…

「巣立ち」を妨げる要因とは…~浜田寿美男著『子どもが巣立つということ―この時代の難しさのなかで―』から学ぶ~

新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、安倍首相は2月下旬に「全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校への一斉休校措置」を要請した。それに伴って、各地方自治体は卒業式を中止したり規模縮小して実施したりする対応を行っている。幸いわが市…

規範はフィクションである?平等というフィクション?~池田清彦著『正しく生きることとはどういうことか』の中から~

前回の記事で、永井均著『〈子ども〉のための哲学』を紹介している時に、ふと以前に読みかけていた本の始めの部分で同書の中のソクラテスに関する記述内容を引用していたことをおぼろげに思い出し、自宅の書棚の中をしばらく探してみた。すると、あった、あ…

哲学とは、自分で勝手にやる学問?!~永井均著『子どものための哲学対話―人間は遊ぶために生きている!―』を再読して~

今から20数年前、私が教職に就いていた頃に書名に興味をそそられて『〈子ども〉のための哲学』(永井均著)を読み、「哲学」に対する考え方に関する強い知的インパクトを受けたことがあった。そのことがきっかけで、その後2年ぐらい経ってから、ある古書…

新型コロナウィルスの集団感染の防止について考えた!

今、世界各国の政府は、いかにして新型コロナウィルスの集団感染によるパンデミックを起こさないように対応するかで、頭を悩ませている。日本政府も2月下旬から「多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等の中止・延期・規模縮小等の対応要…

「こども哲学」もやってみたいなあ…~こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ著『こども哲学ハンドブック―自由に考え、自由に話す場のつくり方―』を読んで~

前回の記事は、『哲学は対話する―プラトン、フッサールの“共通了解をつくる方法”―』(西研著)を読んで、「哲学対話」において共通了解を図る意義とその方法について学んだことをまとめてみた。そこでは、哲学の目的を「一人一人の生き方と社会の在り方をよ…

「哲学対話」において共通了解を図ることの意義とその方法について~西研著『哲学は対話する―プラトン、フッサールの〈共通了解をつくる方法〉―』から学ぶ~

ここ数回の記事は、身近な話題(物の紛失事例や孫の近況報告、SC全国ネットワーク総会報告等)を取り上げたもので、いつものように私が読んだ本に関するものではなかった。その理由の一つは、最近まで読んでいた『哲学は対話する―プラトン、フッサールの〈…

見えてきた!総合型地域スポーツクラブの「登録・認証制度」の全容…~SC全国ネットワーク総会に参加して~

去る2月26日(水)に東京都新宿区で開催された「令和元年度SC全国ネットワーク総会」に、私はオブザーバーとして参加した。その議事の中で(公財)日本スポーツ協会の担当者から「総合型地域スポーツクラブ登録・認証制度及び中間支援組織の整備につい…

この半年ほどの間に変容してきた初孫Hの育ちの様子と私たちじじばばのかかわり方について反省的に考える

今月11日(火)の「建国記念の日」は、男児の初孫Hの満3歳の誕生日であった。「もう3歳になったんだなあ!」というのが、私たちじじばばの偽らざる気持ちである。確か前回、当ブログでHの近況報告的な記事を綴ったのは、昨年6月中旬でHがまだ2歳4…

紛失物を見つけるための心得について~私や同僚が鍵を紛失した事例から~

加齢による老化現象の現われの一つか、私は最近よく物を紛失することがある。例えば、少し前になるが、メガネをどこかに置いてしまって、探し出すまでにかなりの時間がかかってしまったことがあった。また、先日は職場でスマホを紛失してしまい同僚にも心配…

エッセイが苦手な小説家のエッセイ集の魅力!~伊坂幸太郎著『3652 伊坂幸太郎エッセイ集』を読んで~

「エッセイが得意ではありません。」という書き出しで始まる「あとがき」を読んでいると、その大きな理由が「僕自身が至って平凡な人間で、平凡な日々しか送っていないため、作り話以外のことで他人を楽しませる自信がないから」らしい。何と謙虚な小説家な…

「新しい学力」のとらえ方とこれからの学校教育の在り方~斎藤孝著『新しい学力』を参考にして~

ここ数回の記事では、本年4月から新学習指導要領が全面実施される小学校教育の具体的な取り組み例として、地元国立大学教育学部附属小学校の教育研究大会で公開された「体育科」や「道徳科」の授業を取り上げて、その実践内容の概要を紹介するとともに私な…

思考力を伸ばすために、道徳科の授業構造を転換する必要があるのではないか!

1月31日(金)と2月1日(土)の両日、私は地元国立大学教育学部附属小学校の教育研究大会へ参加した。現職の時、15年間勤務し「体育科」の実践研究に取り組んだので、主に「体育科」の公開授業を参観したのだが、公開する時間帯が複数設定されていた…

“ボッチャ”というパラスポーツの特性を生かした異校種・異学年間の交流学習に感動!

「こ~うじ、こ~うじ、こ~うじ…」という名前の連呼と共に大きな手拍子の中、特別支援学校・中等部の浩二君は、少し緊張気味の表情で投球動作を始めた。そして、運営係の小学校2年生が赤旗を振り降ろすと、意を決したように青ボールが山なりになるように投…

困難な境遇の中で生き抜いている人たち!人生いろいろ…~上原隆著『にじんだ星をかぞえて』の中から~

いつの世も同様だが、特に現代社会においては困難な境遇の中で生き抜いている人たちがたくさん存在する。その当たり前のことを改めて実感させてくれるのが、『にじんだ星をかぞえて』(上原隆著)であった。著者の上原氏は、1949年生まれのエッセイスト…

2020年「教育改革」の課題とは?~池上彰・佐藤優著『教育激変―2020年、大学入試と学習指導要領大改革のゆくえ―』を読んで~

教職38年間のほとんどが小学校勤務だった元教員の私としては、新学習指導要領の全面実施が本年4月から始まる小学校教育における「教育改革」のゆくえについて何かと気になるところである。つい先日も、いつものように市内の古書店へ行った際に、書棚に並…

老いてからの「幸福」について考える~吉本隆明著『幸福論』を参考にして~

「戦後思想界の巨人」と言われる吉本隆明氏の著書『共同幻想論』や『心的現象論序説』の文庫版が、私の自宅の書棚に並んでいる。30代に購入して何度かチャレンジしたが、その度に挫折してしまった苦い経験があり、その後書棚に入れたまま30年近くの時が…

「機能する文章」の7つの要件の思考法について~山田ズーニー著『伝わる・揺さぶる!文章を書く』から学ぶ~

私が「哲学対話」に興味をもつきっかけになった『考えるとはどういうことか―0歳から100歳までの哲学入門―』(梶谷真司著)の中で、著者が一番参考になった文献として『伝わる・揺さぶる!文章を書く』(山田ズーニー著)を紹介していたので、2週間ほど…

心温まるショート・ストーリーを楽しみつつ…~重松清著『季節風 冬』所収の「その年の初雪」に触れて~

「その年は、記録的な暖冬だった。いつもの冬なら十二月早々に降るはずの初雪が、年が明けても降らなかった。…」 まるで私の住む地域のこの冬を象徴しているような記述であるが、これは『季節風 冬』(重松清著)所収の短編小説「その年の初雪」の冒頭の一部…

自分の哲学を構築しようとすること~若松英輔著『考える教室―大人のための哲学入門―』を参考にして~

年末年始に掛けて市立中央図書館から借りた本の中に、『考える教室―大人のための哲学入門―』(若松英輔著)という本がある。なぜ本書を借りたかと言うと、昨年10月のNHK・Eテレの「100分de名著」で、西田幾太郎著『善の研究』を取り上げて解説していた…

「健康学」は「哲学対話」の実践と通じている!~稲葉俊郎著『からだとこころの健康学』から学ぶ~

2か月ほど前に緊急入院した際、早く「病気」を治し「健康」な状態に戻りたいと強く願う自分がいた。人間は「病気」に罹ると、普段は意識しない「健康」というものの有難さを実感し、「病気ではない」という状態である「健康」を取り戻そうと願うものである…

病気の自己を客体化することとユーモアについて考える~赤瀬川原平著『増補 健康半分』所収エッセイ「病気陣営の会議」から~

昨年11月下旬から12月初旬にかけて約1週間、私は突然発病した「虚血性腸炎」で緊急入院を余儀なくされた。約5年前にも同様な経験をしていたので、今回はわりと冷静に対応することができたが、前回は「下血」した際に「悪い病気かな、もしかしたらがん…

「哲学対話」の場の開き方について~土屋陽介著『僕らの世界を作りかえる哲学の授業』を参考にして~

子年を迎えた年始の第2弾の記事も、やっぱり「哲学対話」に関するものになる。昨年末からの記事に目を通してくださっている読者の皆様からは、「もういい加減にして別のテーマにしてはどうか…」という非難めいた声が聞こえてきそうだが、そうはいかない。悪…

「哲学対話」を行う方法で知っておくべき“コツ”とは…~苫野一徳著『はじめての哲学的思考』から学ぶ~

読者の皆様、明けましておめでとうございます。元号が「令和」になって初めての正月。いよいよ「東京オリンピック・パラリンピック2020」が開催される記念すべき年の始め、1月3日。私にとっては、当記事が本年最初の当ブログの記事である。今、お屠蘇…