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「人生・生き方」「教育・子育て」「健康・スポーツ」などについて考え、雑学的な知識を参考にしながらエッセイ風に綴るblogです。

人生・生き方

時代小説の新たな地平を拓く青山作品の魅力について…~青山文平著『遠縁の女』を読んで~

私の睡眠時間は、平均すると約5時間である。日によって多少時間のずれはあるが、午後11時頃に入眠して午前4時頃には目が覚める。目が覚めた後は何をしているかというと、枕元に置いている電気スタンドのスイッチを押して点灯し、寝る前に読んでいた本の…

障害者に対する差別や偏見を助長する「世間」の変化とは…~佐藤直樹著『目くじら社会の人間関係』から学ぶ~

先月22日(水)の地元の新聞紙に<児童に「生きる価値なし」 特別支援学級教諭を免職>という見出しの記事が掲載された。その記事によると、兵庫県姫原市立のある小学校教諭(39歳の男性)が、2018年~2021年6月の間に、かばんをしまわないなど…

約3か月振りに馴染みの喫茶店へ出掛けました!~「まん延防止等重点措置」の解除を受けて~

10月になり、全国的に「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」が全面解除になった。本県もしばらく継続されていた「まん延防止等重点措置」が解除になり、我が家でも今まで継続していた外食自粛を解禁することにした。まずは、2日(土)の午前中、約…

「障害」を媒介にして人々の関係を変えよう!~伊藤亜紗著『目の見えない人は世界をどう見ているか』から学ぶ~

前回の記事をアップした後、私は当ブログで以前に「伊藤亜紗」という美学者に関わる内容の記事を綴ったことがあったことを思い出した。それは、「スポーツは見えない?」(2019年3月20日付け)というタイトルで、彼女がNTTと共同して「目の見えな…

「道徳」ではなく「倫理」を中核にした道徳授業について~山口尚著『日本哲学の最前線』から学ぶ~

職場で新型コロナウイルスの感染拡大防止のために時差出勤が実施されていた時期に、定時より1時間早く出勤する日があった。当然、その日は退庁時刻も早くなるので、私は久し振りに帰宅途中にある大型書店に立ち寄ることにした。2階の文庫や新書等を揃えて…

「居る」を支えるケアラーとしての教師の在り方について考える~村上靖彦著『ケアとは何か―看護・福祉で大事なこと―』から学ぶ~

9月に入り学校は2学期を迎えたが、本県はまだ「まん延防止等重点措置」の実施が継続している。当面、学校は午前中だけ授業を実施し、給食を食べてから下校という緊急的な対応策を講じている。全国的に従来株より感染力が強力なデルタ株が市中で蔓延し、子…

「読む」ことと「書く」ことについて考える~若松英輔著『生きていくうえで、かけがえのないこと』から学ぶ~

7月に再就職して以来、なかなか集中して読書をしたりブログを書いたりすることがままならなかったが、日々の生活リズムに慣れてきた上にお盆休みで一息ついたので、少し心身共にゆとりができてきた。私は、久し振りに市立中央図書館へ足を運び、3冊の本を…

お盆休みに堪能した「浅見光彦シリーズ最後の謎」~内田康夫著『孤道』、和久井清水著『弧道―金色の眠り―』を読んで~

今年のお盆は、日本各地が自然災害に見舞われて、大変な事態に陥ってしまった。その一つが、新型コロナウイルスの変異株(インド型)が全国的に猛威を振るい、第5波の感染拡大が止まらない自然災害級の事態になっていること。二つ目が、本州付近に停滞して…

特別支援教育の視点から学級づくりを考える~松久眞実氏の講演を視聴して~

先日、特別支援教育指導員の研修の一環として、全日本特別支援教育研究連盟・第26回中国・四国地区研究大会におけるオンラインセミナーの次のような講演を視聴した。 講師の松久氏は、現在、桃山学院教育大学の教育学部教育学科教授で、特別支援教育・学級…

コロナ禍で開催されていた東京オリンピック2020を振り返って…

「ゴォーッ、ゴォーッ」という強風の音で目覚めた私は、すぐに階下に降りてテレビのリモコン・スイッチを入れ、NHKの台風情報を見た。8月8日の夜間、九州に上陸した台風9号は、今朝には広島県へ再上陸して北上しているところだった。県下には、まだ土…

「自閉症」のこころの世界はどうなっているのだろう?~特に村瀬学著『自閉症―これまでの見解に異議あり!―』を再読して

前回の記事は、『「こころ」の本質とは何か―統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ―』(滝川一廣著)を再読して、「自閉症」の本質について私なりに理解したことをまとめてみたが、その際に「自閉症」のこころの世界について十分に触れることができなかった。…

「自閉症」の本質をどのようにとらえたらいいのか?~滝川一廣著『「こころ」の本質とは何か―統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ―』を再読して~

学校生活において困り感を抱いている子どもに関わっている先生方やその子の保護者に対する「教育相談」を行うことが、今の私の主な職務内容である。したがって、まず対象児が抱いている困り感の実態を知るために、在籍している保育所や幼稚園・小学校・中学…

「障害」という概念について考える~佐藤幹夫著『ハンディキャップ論』を再読して~

前期高齢者の私としてはフルタイムで働き始めるとやはり体力的にきつい面があり、帰宅してから読書をしたりブログの記事を書いたりする余裕があまりない。特にこの一週間はまず職場の雰囲気や業務内容に慣れることに専念していたので、自分では意識していな…

「教育」に関わる公共性の高い仕事に再挑戦することになりました!

今年1月末をもって前職を辞してから5か月の月日が過ぎた。しばらく心身の疲労を解消することに専念していたが、2月下旬からの約2か月間は、私にとって二人目の孫になるMの「孫育て」とも言える、二女の子育てサポートに全力で取り組んだ。その間に、新…

主人公が未だに偏見や差別が残る「屠殺(とさつ)」という仕事を選んだ理由は?~佐川光晴著『生活の設計』を再読して~

前回の記事で、「神道」における「穢れ」という概念とそれを「祓う」という意味について綴った際に、中世社会になり仏教思想や陰陽道が浸透することによって、特定の人々を「穢れを有する人々」として扱うようになり、それらの人々を排除・差別しようとする…

「穢れ」という概念とそれを「祓う」ことの意味について考える~イースト・プレス発刊『あらすじとイラストでわかる 神道』を参考にして~

「神道」の基本的な事項についてもう少し学んでみたいと思い、馴染みの古書店で初心者向きの本を探していて見つけたのが、次のような章立てで構成されている『あらすじとイラストでわかる 神道』(イースト・プレス発刊)であった。 ○ 第一章「神道の歴史と…

「神道」って、宗教なのかな?~島田裕巳著『神道はなぜ教えがないのか』から学ぶ~

前回と前々回の記事において、『神々の乱心(上・下)』(松本清張著)と『松本清張の「遺書」―『昭和史発掘』『神々の乱心』を読み解く―』(原武史著)を取り上げ、「清張の天皇制観」の2つの視点について綴った。特に前回は、「シャーマニズム的」な視点…

「松本清張の天皇制観」を探る②~松本清張著『神々の乱心(上・下)』と原武史著『松本清張の「遺言」―『昭和史発掘』『神々の乱心』を読み解く―』を読んで~

今月13日(日)の午後に放送された読売テレビの「そこまで言って委員会」のテーマは、「皇室」であった。その中で「皇位継承」や「女性・女系天皇」について取り上げた議論は、とても興味深く大いに学ぶことがあった。と言うのは、「男系男子の継承」を尊…

「松本清張の天皇制観」を探る①~松本清張著『神々の乱心(上・下)』を読んで~

以前の記事で無宗教だと自認している私が日常的に親しんでいるのは「仏教」だと綴ったことがあったが、前回の記事で神社で執り行われた孫Mの「お宮参り」の行事について触れた時に、よく考えれば「神道」もあるなあと意識した。ただし、戦後生れの私などは…

悪人こそ、阿弥陀仏の救いの本当の対象?~ひろさちや著『生き甲斐なんて必要ない―ひろさちやの仏教的幸福論―』から学ぶ~

前回、柳美里氏が著した『JR上野駅公園口』を取り上げて記事を綴った際に触れなかったが、私の心の中で気になっていることがあった。それは、主人公の男性(カズさん)の息子の浩一が亡くなった時に浄土真宗に基づいて行われた葬儀やその教義等について克…

日本人として知るべき実情と問い直すべき重い課題とは…~柳美里著『JR上野駅公園口』に学ぶ~

ずっと気になっていた『JR上野駅公園口』(柳美里著)を読んだ。自宅の書棚に並んでいる柳氏の作品は『私語辞典』『家族の標本』『仮面の国』等のエッセイ集ばかり。芥川賞作家なのに今まで彼女の小説を私はなぜだか読んだことがなかった。だから、今回初…

老後は「回想」によって孤独を楽しもう!~五木寛之著『孤独のすすめ―人生後半の生き方―』から学ぶ~

先日、梅雨の合間の晴れ日に、私が中学生から大学生時代に住んでいた場所辺りを散歩してみた。その場所というのは現在の自宅がある町の隣町なので、徒歩で30~40分ほどあれば回ることができる。今まで仕事をしていた頃は当時を思い出すこともほとんどな…

道徳教育において偉人伝を取り上げることの是非について~パオロ・マッツァリーノ著『みんなの道徳解体新書』を手掛かりに~

一週間に一度は馴染みの古書店か近所の書店に行くのが、私の楽しみの一つである。もちろん目当ての本を探索したり入手したりする目的で行くことが多いが、特に目的もなく書棚に並ぶ本をしばらく眺めて帰ることもある。ただし、そのような場合でも、著者や書…

馴染みの喫茶店で飲むコーヒーの味は?~池永陽著『珈琲屋の人々』を読んで~

月に3~4回、妻と一緒に行く馴染みの喫茶店がある。ほとんどの時は、午前9時過ぎに訪れ、食前の味噌汁が付く美味しいモーニング・セットを注文する。もちろん、ブレンド・コーヒーを付けて…。舌をちょっと刺激する酸味とわずかな苦みが上手くミックスされ…

警察組織の闇の部分を明らかにする正義とは?~柚月裕子著『朽ちないサクラ』を読んで~

二女と孫Mが自宅マンションへ帰ってから約1か月、就寝前後のわずかな時間を活用して、私は「柚月裕子」の作品を次々と読んできた。そのラインナップは、『臨床真理(上・下)』『最後の証人』『検事の本懐』『蟻の菜園~アントガーデン~』『朽ちないサク…

「充実した人生」という言葉に惑わされてはいけない!~勢古浩爾著『60歳からの「しばられない」生き方』に学ぶ~

昨日の5月9日(日)、私たち夫婦は近くのデパ地下で豪華な弁当5折を買って、車で約15分間の距離にある妻の実家を訪問した。「まん延防止特別措置」の適用期間中ではあるが、「母の日」のお祝いのために満92歳の義母や義姉夫婦と一緒に昼食を食べたよ…

桃栗三年、柿八年、柚子(ゆず)は九年で花が咲く!~重松清著『峠うどん物語(下)』を読んで~

全国的に新型コロナ・ウイルスの変異株が猛威を振るい始め、大都市圏はもとより地方都市にも感染が急激に拡大している。そのために、当該都府県には「緊急事態宣言」を発令したり「まん延防止等重点措置」を適用したりして、政府及び各地方公共団体はその対…

「メメント・モリ」(死を想え)って、どういうこと?~重松清著『峠うどん物語(上)』を読んで~

録画保存していた劇場版映画を再生し視聴したことをきっかけにして、その原作者の他の著書を読むという習慣みたいなものが身に付いてしまった。先月末に視聴した映画は、以前に重松清氏の原作を読んでいた『きよしこ』だった。著者の分身のような吃音の少年…

「学校・家庭・地域の連携教育」は、「学校化社会」からの決別を可能にするか?~上野千鶴子著『サヨナラ、学校化社会』を読んで~

4月25日(日)の午前中、NHK・BS1で再放送された<最後の授業「上野千鶴子」>を妻と一緒に視聴し、研究対象の変遷に伴って彼女が発してきた名言のいくつかを聞くことができた。上野氏は東大入学式のスピーチが話題になったり、「おひとりさま」シ…

約30年前、この本が「学びの総合化」へ向けた教育研究推進の後押しになった!~日沼頼夫著『新ウイルス物語-日本人の起源を探る』を再読して~

日中少し汗ばむような陽気になった日に、私は久し振りに自転車で市内の古書店巡りをした。その中で、教職最後の勤務校の校区内に当時開店した古書店を6年ぶりに訪れた時、思わぬ本と再会した。それが、『新ウイルス物語-日本人の起源を探る』(日沼頼夫著…